(参考写真)中国の1元札のお釣りを渡そうとする商売人の女性。現在は取り締まりで市場で元は使えなくなっている。2013年10月両江道恵山市にて撮影アジアプレス。

 

新型コロナウイルスに対する過剰な防疫措置などで極度の経済不振が続く北朝鮮で、突然、通貨ウォンの価値が急騰し、混乱が生じている。(カン・ジウォン/石丸次郎

北朝鮮ウォンの突然の上昇を確認したのは6月4日。週明けの7日も上昇は続いた。5月29日と6月7日の実勢交換レートは次の通りだ。

1中国元=970ウォン → 650ウォン  33%の上昇
1米ドル=6700ウォン→ 5500ウォン 18%の上昇
(6/8時点で1中国元は約17円、1米ドルは約109円)

北朝鮮ウォンと中国元、米ドルの交換レートは、毎朝平壌の朝鮮貿易銀行が非公式に発表する参考値を基に、「トンデコ」と呼ばれる各地の地下両替商が独自に決めている。

アジアプレスでは、毎週一回各地の市場レートを調べて公表してきた。今回、北部地域に住む複数の取材協力者が調査し、ほとんど同じ数値が確認された。上記の数値は両江道(リャンガンド)のものだが、7日夜に咸鏡北道(ハムギョンプクド)の会寧(フェリョン)市から、1中国元=640ウォン、1米ドル=5200ウォンという報告が届いた。特定地域の一時的なウォン急進ではなさそうである。

◆当局が外貨管理を強力推進か

突然のウォン高の原因は何だろうか? 現在、国際的な中国元高が進んでいるが、北朝鮮経済は不振を極めており、ウォンが価値を上昇させるような客観的な条件は見当たらない。また、なぜ元に対する上げ幅がドルに対するそれの2倍近いのか。

「5月に中国との貿易が再開されるという噂があったけれど、見通しが立っていない。個人の密輸も完全に遮断されている。外貨使用に対する取り締まりが厳しく、中国元を受け取ろうしない商売人もいる。中国元の使用が難しくなっている」

こう語るのは両江道に住む取材協力者の一人A氏。北朝鮮国内で中国元の需要が減っていることが、ウォン高元安の理由ではないかと推理する。
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