拘束されている人民議院副議長トゥントゥンヘイン氏(写真左)。昨年11月8日の総選挙で、シャン州北部ナウンチョー選挙区から国民民主連盟(NLD)の人民議院候補として出馬し、再選を果たした。(2020年10月シャン州北部、メーダジャンヘイン氏提供)

 

◆護憲を唱える国軍側の実態

2月1日にミャンマー国軍が「クーデター」を起こしてから5カ月が過ぎた。国軍側は「憲法の擁護」を声高に叫び、一貫して法令に則って行動していると主張する。しかし、その実態は、法令に則ったように見せかけているだけであり、憲法に違反している。今回、2月から拘束されている国民民主連盟(NLD)幹部で人民議院(下院に相当)副議長のトゥントゥンヘイン氏の裁判書類を入手。不当な拘束の実態に迫る。(赤津陽治

国軍側統制下の情報省は6月30日、外国メディアに対し、「軍事政権」という表現をしないよう、声明を発表。改めない場合は法的措置を講じると国営新聞を通じて警告した。(2021年6月30日、国営新聞「ミャンマ・アリン」)

 

◆ふたつの政府が併存

クーデターでは通常、憲法が停止か廃止されるが、現在のミャンマーは様相が異なる。国軍側は、今回の「クーデター」を憲法に基づく一時的な全権掌握としており、「護憲」の立場をとる。一方、昨年11月の総選挙で当選した議員たちを中心とする民主派側は、軍による権力奪取を認めず、3月末、憲法廃止を宣言。新憲法の起草をめざし、4月中旬、国民統一政府(NUG)という並行政権を樹立した。現在のミャンマーは、国軍側の政府と民主派側の政府の“ふたつの政府”が併存する状況となっている。

トゥントゥンヘイン氏の起訴状。刑法第505-A条と第505条a項に抵触しているとして、国軍保安部大尉が原告人となり訴追。証人には、国軍保安部や警察情報部、内務省特別捜査局などの職員の名前が並ぶ。(2021年3月、メーダジャンヘイン氏提供)