アスベストを含むブレーキライニングが使われていた巻上機(関電提供)

◆過去15年以上も違法状態か

法違反とみられる譲渡の原因について関電は、「水力発電部門でアスベスト含有の可能性がある設備の把握や、その旨を設備へ掲示する仕組みがなかった。関係法令の知識が不足していたため、設備におけるアスベストの含有有無を確認しないまま譲渡した」などと説明している。

同社は水力発電部門における再発防止として、
(1)アスベスト含有の可能性がある設備のリストを作成する
(2)アスベスト含有の可能性がある設備にその旨を掲示する
(3)工事の際に用いるチェックリストや発注書類にアスベストの取り扱いに係る項目を追加する
(4)関係法令に関する研修を強化し、知識の向上を図る
(5)本事象を社内関係箇所に周知徹底する
──を掲げる。

だが、アスベストの使用禁止などの規定が理解されておらず、少なくとも水力発電部門において調査やその結果の現場掲示、発注における調査などの規定がなかったということは、法を遵守する仕組みが存在しなかったことになる。

同社は「原子力や火力部門では把握する仕組みがあった」と説明する。だが、同社は2020年1月にも奈良市の登美ヶ丘変電所でアスベストが吹き付けられた防音壁を届け出や対策なしに撤去する不適正事案を起こしている。

そもそも安衛法におけるアスベストの製造・輸入・譲渡・提供・使用禁止の規定は2006年施行である。それから15年間に同様の違法売却が何度も繰り返され、そのたびに国が通知を出して注意喚起してきた。

にもかかわらず、関電では管理体制の確認や見直しすらされていなかったことになる。同社の構造的な問題が強く疑われる。

今回調査したのは直近2018~2020年度に巻上機を撤去した同種工事だけだ。アスベストの管理体制が存在しない以上、さまざまな設備で同様の違法売却が起きてきたことが強く疑われる。また2018年度よりも以前にも同じような事態が起きていたことはまず間違いないだろう。別のアスベスト関連の不適正工事も起きていたはずだ。

さらにいえば、アスベスト含む材料などを扱う場合における規制は2006年以前から存在する。今回の問題が発覚するまでアスベストが含まれているかどうか把握し管理する仕組みがなかったとすれば、禁止規定の施行以前についても不適正な取り扱いが横行していた可能性が高い。同社は水力部門のみならず、そうした管理の不備についても調査する必要があるのではないか。