◆自民はカネの使途に説明責任

上脇博之神戸学院大学教授は以下のように指摘した。
「税金が原資の政党交付金を受け取っている自民党の沖縄県連が、政党交付金を受け取る資格がなく、使途の透明度の一番低い『政治団体』に対し1億円超もの高額寄付を行ない、実際その使途の詳細がほとんど不明だというのは、あまりにも異常すぎます」

佐喜眞淳の支援団体の県民の会の『人件費』名目の支出は2019年だと157万円弱で、県知事選のあった2018年はその7・4倍の1163万円強もありました。知事選における佐喜眞候補の運動員に対し県民の会が『人件費』名目で報酬を払っていたのではないかとの重大な運動買収疑惑も生じてしまいます。

京都では衆参の国政選挙で各立候補者が買収目的で自民党府連を介し地元の地方議員にカネを交付してきたというマネーロンダリング事件が発覚しました。沖縄県知事選挙ではその手口が県民の会を介し、『人件費』名目で行われたのではないかとの疑念が生じます。そうでないというのであれば、沖縄県連も県民の会も説明責任を果たす必要があります」

◆知事選直後に沖縄電通に7787万円支払いは何のカネか?

自民沖縄県連の不可解な支出はまだある。

自民沖縄県連は、沖縄県知事選挙後の10月3日に5000万円、10月23日に約2787万円、合計約7787万円も株式会社沖縄電通(以下、沖縄電通)に「政策関連費用」として支払っている。

1998年に設立された沖縄電通は、電通グループが42%、沖縄県内メディア7社(エフエム沖縄、沖縄タイムス社、沖縄テレビ、ラジオ沖縄、琉球朝日放送、琉球新報社、琉球放送)が58%を出資している。

収支報告書が公開されている2018年以降に自民沖縄県連が沖縄電通に支払ったのは、この県知事選挙直後の2回だけである。一体、どのような目的のための「政策関連費用」だったのだろうか?

政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大学教授は以下のように指摘した。

「『政策関連費用』名目の支出は2018年だけなので、沖縄県知事選に関連する支出だったのでしょうが、『政策関連費用』というのは抽象的すぎて具体性に欠けます。またその金額が計7787万円というのも高額すぎます。自民沖縄県連は具体的にどのような『政策』のために、どのような費用の支出だったのか、できるだけ詳細に説明すべきです。」

自民沖縄県連に対して不可解な支出に対して質問したところ、以下の回答があった。
「ご質問のありました自由民主党沖縄県連の政治資金につきましては法令に従って適正に処理しております」

地元のメディア7社が出資している沖縄電通に支出していること自体は法律違反ではない。しかし計7787万円もの多額の支出である。「政策関連費用」という曖昧な名目ではなく、自民党沖縄県連は内容について説明責任を果たすべきではないだろうか。

 

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