派閥「志帥会」の会長である二階俊博元自民党幹事長。HPより。

政治団体「志帥会」(以下、二階派)が政治資金収支報告書(以下、収支報告書)にパーティ券収入明細を記載していなかった問題で、新たな不記載が見つかったため、2018年以降の事務総長経験者である平沢勝栄衆議院議員、山口壮衆議院議員、武田良太衆議院議員の3人が、政治資金規正法違反で追加で刑事告発された。これで告発対象となった二階派の不記載額合計は1436万円となった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆告発後も不記載を続けた二階派

告発補充書を提出したのは上脇博之神戸学院大学教授。これまでは会長である二階俊博衆議院議員と事務方担当者2名の合計3人が刑事告発されていたが、告発補充書では「事務総長は「志帥会」の実務を取り仕切っており、同会長と共に政治資金収支報告書の記載方針を決定する立つ場にあった」として、2018年19年の事務総長だった平沢勝栄衆議院議員、20年の山口壮衆議院議員、21年22年の武田良太衆議院議員が新たに刑事告発の対象となった。

二階派に関連して追加して出された告発補充書によると、今回新たに見つかったのは2019年以降の268万円の不記載分。

二階派のパーティ券の不記載問題の刑事告発は23年1月1日付で東京地検に出されたのを皮切りに、これまで今回を含めて6回目。見つかった不記載分は最初の告発の際は468万円だったが、2回目に80万円、3回目に220万円、4回目に194万円、そして今回の268万円を足して1436万円となった。

最初の告発を除き、追加告発の中で今回が最多の金額となったのは、NHKの報道等を受けて二階派が収支報告書を訂正、追記をしたことで新たに発覚したからだ。

一例をあげると、22年5月10日の日本歯科技工士連盟の30万円、4月7日の4万円、4月20日の18万円はいずれもオートバイ政治連盟、6月2日の20万円、7月1日の20万円はいずれも日本建設職人社会振興連盟が購入した二階派のパーティ券だ。その合計92万円分が、二階派の収支報告書には記載されていなかった。

2023年の二階派の政治資金パーティの様子。平沢勝栄議員のHPより。

◆報道後に初めて収支報告書に記載 「罪を自白したようなもの」

23年11月27日の加筆訂正によって、初めて収支報告書に記載された。この加筆に対して告発状では、パーティ券収入が不記載だったことを認めたからこそ加筆したのであって、これは二階派による「自白」だと指摘している。

二階派のパーティ券不記載問題を最初に取材・報道したのは「しんぶん赤旗日曜版」だ。その記事が出た後にも、22年のパーティ券収入が不記載となっていた。上脇教授は、「二階派は何も反省していなかった」と厳しく批判している。

◆事務方の独断はあり得ない

自民党派閥の刑事告発を続けてきたる上脇博之神戸学院大学教授は次のように指摘する。

「安倍派の告発補充書と追加告発状で当時の事務総長を被告発人に加えました。二階派にも事務総長がいて報道機関が見解を求めている記事を確認したので、同じように被告発人に加えました。20万円を超えるパーティ券収入の明細を収支報告書の記載しないことを事務方だけの独断で行なうことなどあり得ませんから、二階会長の他に当時の事務総長3名も告発したのです。特捜部には、清和政策研究会だけではなく、志帥会についても捜査を尽くし立件してほしいと思っています。」

◆政治資金規正法改正に踏み込まない岸田首相

12月13日の国会会期末の岸田首相の記者会見で、政治資金規正法の改正についての質問があったが、「改正を検討する」という発言はなかった。東京地検の捜査ができるのは、規正法の公訴時効の5年分だけ。不記載がいつから続けられてきたのかという真相解明、今後どうやって防止していくのかという対策を、具体的に議論できるのは国会だけだ。パー券不正疑惑がききまで大問題となっているのに、岸田首相がもし法改正の必要はないと考えるのであれば、その理由を是非有権者に説明してもらえないだろうか。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

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