岸田首相と茂木自民幹事長。茂木氏のFBより。

自民党5派閥の政治資金パーティ収入の不記載問題を2022年から刑事告発をし続けている神戸学院大学の上脇博之教授が出した告発状のうち3件が、東京地検が「軽微な過失」だとして立件せず返送されたことが分かった。返送されたのは、宏池会(以下、岸田派)、平成研究会(以下、茂木派)、池田義隆衆議院議員(逮捕)の資金管理団体「池田黎明会」が、それぞれが政治資金パーティの収入を24年1月に政治資金収支報告書(以下、収支報告書)で修正したことに対する刑事告発。上脇教授は告発状に加筆して、1月28日に再度東京地検に刑事告発した。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆捜査終了前の修正分が不受理

2023年12月に安倍派、二階派の強制捜査、関係議員の事情聴取を経て、今年1月に岸田派、茂木派及び「池田黎明会」などが収支報告書を訂正、一連の自民党5派閥のパーティ券収入の不記載事件は捜査が終了した。

しかし上脇教授は、修正したこと自体がパーティ券収入の不記載を認めて、犯罪を「自白」したものだとして、二階派をはじめ、岸田派、茂木派及び、国会議員などの関係者を刑事告発していた。それらのうち3件が東京地検から上脇教授に返送されてきた。理由は「軽微な過失」。上脇教授は、直ちに告発状を加筆修正して東京地検に再送した。

もしこのまま東京地検が告発を受理・立件しなければ、事件は今後捜査されることもなければ、不起訴にもならず、検察審査会に諮ることもできなくなる。なお、今回上脇教授に返送されたのは、今年1月に岸田派、茂木派、「池田黎明会」が収支報告書を修正した件である。

これまでに上脇教授が東京地検に送付し続けている一連の告発状は受理されているため、岸田派、茂木派の不記載事件の全てが事件化されないわけではない。

◆岸田派の裏金は2500万超 「軽微な過失」で済まない

上脇教授は東京地検が受理しなかったことについて、こう憤る。

「1月に訂正された3つの収支報告書を確認すると、各収支報告書に記載していなかった裏金が使われずにプールされていました。裏金の額は茂木派が280万円、池田黎明会が1095万円、岸田派が2501万円。悪質だと判断した私は、告発状を作成して東京地検に送付したのです。

これに対し東京地検は『単なる計算誤りなどのような軽微な過失によるものは「虚偽記入」には含まれない』として、3つの告発状を返戻してきました。

仮に、たとえ勘違であったとしても、いずれも高額な裏金ですから、現金であれ金融機関口座であれ、それらの金額が本当に保管されていれば勘違いに気づくはずで、『軽微な過失』であるはずがありません。

東京地検は2022年11月から今月まで5派閥の20万円を超える政治資金パーティ収入明細不記載の告発状については、不記載額が6万円のものを含め少額であっても返戻せず受理して不起訴にしていますから、明らかに整合性がありません。東京地検は裏金告発を受理して不起訴にした場合、私が『起訴相当』議決を求めて検察審査会に審査を申立てするのを阻止したいのかもしれません。

私は加筆した告発状を再度送付しました。東京地検が高額な裏金プールの告発を受理しないのならば、私の告発権を侵害する恣意的な不受理であると言わざるを得ません」

◆不受理を許してはいけない理由

これまでも、多くの国会議員ら政治家たちは、「政治とカネ」の問題が報道されるなどして発覚した場合、修正して済ませてきた。今回の不受理は、東京地検が「収支報告書を訂正すれば罪に問わない」とお墨付きを与えてしまう可能性がある。

上脇教授は自民党5派閥の不記載事件だけでなく、多くの「政治とカネ」問題を刑事告発してきた。明らかな法律違反であっても、検察は不起訴にしたり今回のように不受理としたりして、政治家たちを罪に問わず見過ごしてきた。

その結果、日本の政治において裏金問題が放置し続けられ、パーティ券を購入してくれる業界団体や企業に対する利益誘導政治が続いている。こうした状況を変えるためには、検察が捜査をし尽くして真相を解明し、政治家の罪を問うことが重要だ。一連の不記載事件を許さないという世論を検察に届けることが、検察を動かすことになるのではないだろうか。

 

■ 鈴木祐太
(すずきゆうた) 1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

 

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