
◆深刻な兵員不足 女子比率40%超か
今回、軍服務期間が変更されたのは4年ぶりだ。従来は男子13年、女子8年だったが、2021年にそれぞれ8年、5年に短縮された。若い男子の労働力不足が深刻化していた工場、炭鉱、農場などに人員を振り分けることが目的だった。
それでは、なぜ今年、軍服期間を変更したのだろうか? B氏は理由についてこのように説明する。
「とにかく『召募』に応じる人数が不足している。軍人たちが社会主義建設に動員されているため、兵士が足りないのだ。最近は、子供を産もうとせずひとり子が多く、息子より娘を好む傾向もあるので、不足に拍車がかかっているようだ。入隊を忌避する者については、(当局は)法的に厳しく処罰すると通知している」
A、B両氏の説明を整理すると、対象者を全員選抜するために、今年は召募を5月中旬まで延長することになったという。大学や専門学校への進学試験で不合格だった場合、北朝鮮でも1年程「浪人」するケースがあるが、今年はそれを許さず全員軍隊に送る方針だという。
「人員が圧倒的に不足しているからだ。新兵の女子比率が40%を超えているという話も聞いた。以前の身体検査で病気が見つかった者も、病歴書を確認して再検査させている。一人残らず軍に送る勢いだ」と、A氏は言う。
◆それでも脱北者の家族は入隊から除外
また、深刻な兵員不足の中でも、脱北者の家族や政治犯の家族などは 「召募」から除外されているとA氏はいう。
一方、朝鮮中央通信は4月28日、朝鮮労働党中央軍事委員会の名義で北朝鮮軍のロシア派兵事実を公表した。
アジアプレスでは、今回の軍服務期間延長がロシア派兵と関連があるかどうかについて確認することができなかった。
※アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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