◆針もライターもない、乾電池は15倍の価格に

国境封鎖によって貿易が中断されると、ジャンマダン(市場)や商店から中国商品が姿を消した。消耗品の大半を中国商品に依存していた北朝鮮では、すぐに品不足の波が押し寄せ、急激な物価高騰を引き起こした。

2020年2月7日、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市に住む取材協力者は、国境が遮断されてわずか1週間ほどの状況を以下のように伝えてきていた。

「(ジャンマダンの)商売人は半分に減った。中国から生活必需品が入ってこないから売る物もなく、価格が高騰している。(人々は)食料品以外は買おうともせず、閑散としている」

<北朝鮮内部>「市場に物がなくなった」と住民悲鳴 新型肺炎で国境封鎖 当局は価格引き下げ強要

2023年5月、黄海道(ファンヘド)から西海を通じて家族と脱北したキム・チュンヨル氏(33)は、当時の状況をこう話す。

「お金があっても物がないんです。中国から輸入が禁止されたため、針一本、女性の衛生帯(生理用ナプキン)さえもありませんでした。本当に苦しかったです」

2023年10月、東海を通じて娘のカン·ギュリン氏(23)と脱北したキム・ミョンオク氏(54)も、咸鏡南道(ハムギョンナンド)中部の地方都市の様子をこう記憶する。

「ジャンマダンには、商品が一つもありませんでした。(コロナ前に)1千ウォンだった時計の薬(乾電池)も(15倍の)1万5千ウォンまで値段が上がっていました。ライターがなくて国産のマッチを使いましたが、これほど残念なことはありません。(品質が良くないので)火をつけようとするとどんどん割れていき、少ししか使ってないのに全部なくなってしまいました」

※北朝鮮1000ウォンは、2020年3月時点で約12.2円

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