◆ ロックダウンで脆弱層から死者発生

キム・ミョンオク氏は、当時の状況についてこう話す。

「稼ぎが遮断され、首を絞められた状態でした。完全に息が止まっていないだけで、何もできませんでした。財産を全部売って、山奥に逃げ込んだ人も多かったです。あまりにも生活が大変で、家を売って洞窟に入り、食べている人たちもいたでしょう」

こうした中、コロナウイルスが流入した疑いがあると、いくつかの都市でロックダウンが実施された。

2020年11月、中国と国境を接する両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では、20日間にわたって都市が封鎖された。その間、一切の外出が禁止され、市場を含めたすべての活動が止まった。

恵山に住むアジアプレスの取材協力者は、当時の様子を次のように伝えていた。

「隣の家にも行けない。保衛局(秘密警察)と安全局(警察)の車両以外は、市内にアリ一匹も歩き回らず、出勤や動員に出る人もいない」

老弱者や患者がいる家族、片親家族など脆弱層から餓死者が現れ始めていた。

次回は、コロナウイルスが大流行した2022年5月以降の混乱について伝える。(続く)

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

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