(参考写真)地方都市には水道が麻痺状態の所がいまだ多い。子どもたちが水汲みに動員されている。2008年10月に黄海南道で撮影(アジアプレス)

北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)で最近、浄水施設の不備から水質が悪化し、水道水を飲んだ多数の人が激しい下痢を発症し大きな問題になっていることが分かった。大腸炎で入院する人が急増しているという。(カン・ジウォン)

◆市内全域で下痢患者発生

「水道水を飲んで大腸炎にかかる人が次々に発生し、激しい下痢で入院する人が多数出ている。水道をひねると寄生虫のようなものが出てくることもあった。恵山市内全域で患者が発生したので、当局が水道水に消毒薬を過剰に入れたため、あまりに臭いがひどくて飲めない有様だ」

9月初旬、恵山(ヘサン)市に住む取材協力者はこのように伝えてきた。

当局は「水源池の工事中だ」というだけで、消毒薬投入以外に対策を講じず説明もないという。この取材協力者は「浄化施設を新設するから2000ウォンずつ金を払えと、人民班で言われた」と述べた。

※2025年9月時点で北朝鮮1000ウォンは約5.3円

◆水商売が急に大流行り

水道水が使えなくとも、水は必要だ。どう対処しているのだろうか?

「湧き水が出る泉源には長い人の列ができている。水商売が盛行していて、貧しい人たちが我われもと運び屋を始めた。50リットルのポリタンク一つが3000ウォンだったが、競争が激しくなって2500ウォンで請け負う人もいる。収入のない一人暮らしの老人たちの参加が目立つ。『水の配達を自分にさせてほしい』と家々を訪ね回っている」

この数年、金正恩政権は商行為や荷物運びなど、個人の金儲け行為を厳しく制限しているが、今回の水の運搬商売に対しては、まったく規制していないという。

北朝鮮の地方都市は、長年上下水道の整備が放置されてきた。金正恩政権は地方都市の生活インフラへの投資を怠ったままで、「この10数年、電気と水道事情はまったく改善されていない」と、国内の取材協力者は口を揃える。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

動画・北朝鮮の水問題3】劣悪な水道事情...洗顔水もお金で買う

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

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