いま軍事費(防衛費)のとめどない膨張と、自衛隊の長射程ミサイル配備や弾薬庫増設、民間空港・港湾の軍事利用、米軍との共同訓練の激化など、大軍拡と戦争準備が加速している。
日本をふたたび「戦争をする国」にしかねないその危うい現実を、マスメディアがほとんど
報じない市民の反対運動の現場の声も伝えながら報告する。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)
◆「欠陥機」オスプレイを飛ばすのは米軍と自衛隊だけ
薄曇りの空から頭蓋を揺さぶるような重低音の爆音が響いてくる。見上げると、灰色の巨大な怪鳥じみた機体が旋回しながらみるみる近づく。短い両翼端に付いたローター(回転翼)を水平から斜めに、さらに垂直へと切り替えながら、草原の一角に向けて降下する。

陸上自衛隊(以下、陸自)の垂直離着陸輸送機V22オスプレイだ。今年7月に開設された陸自佐賀駐屯地配備の、17機中の1機である。機体胴部の日の丸がいかにも目立つ。
今年9月13日午前10時過ぎ、オスプレイはここ大分県別府市の高地にある陸自十文字原[じゅうもんじばる]演習場に飛来し、離着陸とホバリング(空中停止)の訓練を繰り返した。私は場外の道路脇からシャッターを何度も切った。

やがて、着陸した機体に自衛隊の給油車から航空機燃料が給油された。迷彩の戦闘服・ヘルメット姿の自衛隊員らが後部デッキから機内に乗り込む。兵員輸送の訓練だ。たちまち離陸したオスプレイは別府湾方面へ飛び去った。
オスプレイを配備しているのは、世界中で米軍と自衛隊だけである。米海兵隊のMV22や米空軍のCV22が多くの死傷者(今年10月の時点で死者65人)も出る墜落事故、不時着などを繰り返している。

オスプレイは、ローターにエンジンの動力を伝えるクラッチが一時的にはずれ、それがふたたびつながる際に衝撃が生じる「ハード・クラッチ・エンゲージメント」が起きやすく、そのためエンジンが故障して、機体が制御不能となるリスクを抱えることなどから、「欠陥機」とも呼ばれる。
自衛隊のV22も昨年10月、与那国島で機体損傷の事故を起こし、緊急着陸も複数回ある。そのような安全性を強く疑われるオスプレイが、佐賀空港に隣接する駐屯地に配備されてから、九州各地を訓練飛行で飛び交い、住民に墜落事故などの不安をもたらしている。

次のページ:◆戦争に備える日米共同実働訓練「レゾリュート・ドラゴン25」…↓






















