◆戦争準備のリアルな様相が見えてくる
沖縄・九州では、自衛隊のミサイル部隊が次々と配備され(石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島、熊本、湯布院)、ミサイル保管が主目的の大型弾薬庫も大分などで建設されている。中国をにらんだ軍事要塞化が進む。

2022年12月に当時の岸田文雄政権が防衛・安全保障政策の指針として、「安保3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を閣議決定して以来、「専守防衛」路線を逸脱し、他国を先制攻撃もできる長射程ミサイル(射程1000~3000キロ)の導入など、攻撃性が著しい大軍拡、軍事費膨張、米日軍事一体化の動きが加速している。
国産の12式地対艦ミサイルの射程を約200キロから約1000キロに延ばして、地上発射型だけでなく艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良する。九州から発射すれば上海など中国沿岸部にも届く能力向上型で、対地攻撃にも使える。アメリカ製の射程約1600キロでイージス艦や潜水艦などから発射できるトマホーク・ミサイルも輸入して配備する。
さらに北京など中国内陸部にまで届く、国産の高速滑空弾(ミサイル、射程2000~3000キロの能力向上型。政府は島嶼防衛用と称する)と音速の5倍以上で飛ぶ極超音速誘導弾(ミサイル、射程2000~3000キロ)を開発して配備する。それらを運用する長射程誘導弾部隊も新設する。

防衛省は「レゾリュート・ドラゴン25」の目的について、日米共同作戦の連携強化、共同対処能力の向上と通り一遍の説明をしている。しかし内実は、台湾有事にアメリカが軍事介入して中国と交戦状態に入り、米軍が在日米軍基地から出撃することで日本も戦争に巻き込まれ、自衛隊もミサイルなどを用いて参戦する事態を想定したものとみられる。

米日軍事一体化のもと「戦争をする国」に変貌しつつある日本の現状、戦争準備、戦場化の危機などのリアルな様相が、日米共同実動訓練の場から見えてくる。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。






















