今年3月、陸海空自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する統合作戦司令部が新設された。これはもともと「米軍との一体性を強化」し、「意思疎通と戦略の擦り合わせ」をするのが目的である(『日本経済新聞』2022年10月30日朝刊)。それは自衛隊が米軍の事実上の指揮下に置かれることにつながる。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

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◆米軍と自衛隊の司令部機能の一体化が進む

米軍は日米「指揮統制」連携の強化に向けて、在日米軍基地の管理の権限だけ持つ在日米軍司令官(東京都西部の横田基地に司令部)に、在日米軍部隊の指揮統制・作戦計画などの権限も持たせるよう、インド太平洋軍司令官(ハワイに司令部)の下で機能する統合軍司令部として在日米軍司令部を再編成する。

六本木ヒルズが間近に見える都心の米軍基地、赤坂プレスセンターのフェンス(2018年3月15日撮影)

その統合軍司令部は自衛隊の統合作戦司令部と緊密に連携することになる。そのための専門部署を都心の港区にある赤坂プレスセンター(麻布米軍ヘリ基地)に新設する。

在日米軍司令部のある横田基地の門(2018年4月5日撮影)

日本政府は、「自衛隊と米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動する」との見解を示している。だが、軍事衛星、無人機、電波傍受、スパイ活動などによる情報収集・偵察・監視の各能力ではるかに優り、実戦経験も積んできた米軍が、「日米共同対処」、共同作戦で主導権を握り、自衛隊を事実上の指揮下に置くにちがいない。

横田基地に着陸する米空軍の大型輸送機C17(2021年6月21日撮影)

以前から司令部レベルでの米日軍事一体化も進んできた。横田基地には自衛隊の航空総隊司令部もあり、その地階には、日米の共同統合運用調整所が置かれ、自衛隊と米軍のスタッフが防空システムと弾道ミサイル防衛システムについて情報を共有し、作戦の調整にあたる。米第5空軍・在日米軍司令部棟とは地下連絡通路でつながっている。

都心の港区にある米軍基地、赤坂プレスセンター(2018年3月15日撮影)

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