
恵山市対岸の長白県の貿易事情に詳しい吉林省の貿易関係者は9月末、アジアプレスの取材に対し、「中国当局はずっと密輸の取り締まりを強めていたが、この8月から、BYD(中国の高級電気自動車メーカー)をはじめ中古の乗用車やトラクターの密輸が活発になっている」と述べた。
一方の北朝鮮側。恵山市に住む複数の取材協力者は、8月に入ってから中国側の統制が緩み始めたと口を揃える。密輸関連情報に詳しい協力者のひとりは9月初旬、「昨晩も中国の中古車が27台入って来たそうだ」と伝えてきた。
制裁によって車両の輸入が全面禁止されたことは、北朝鮮にとって経済上、軍事上の打撃になったことは間違いない。9月初旬の金正恩氏の訪中をきっかけに、冷え込んでいた朝中関係が改善し、密輸に対する取り締まりが緩和された可能性がある。

中国政府は、安保理の常任理事国として表立って制裁違反を犯すことはできない。だが、鴨緑江上流での「国家密輸」を黙認することで、金正恩政権をサポートしているものと考えられる。
※写真はすべて2025年9月中旬に中国側から撮影した両江道恵山市の様子。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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