「安保3文書」にもとづく大軍拡の柱は、敵基地・敵国攻撃能力を持つ長射程ミサイルの配備である。それらのミサイルを保管するための大型弾薬庫の建設も、全国各地で進む。自衛隊が平時の訓練から有事の出撃まで、民間空港・港湾を軍事利用できる制度も整えられている。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆自衛隊が誇示する敵基地攻撃の長射程ミサイル
今年6月8日、陸上自衛隊(以下、陸自)の実弾射撃演習「富士総合火力演習」が、東富士演習場(静岡県御殿場市など)で開かれ、敵基地・敵国攻撃能力を持つ車両搭載式の長射程ミサイル、12式地対艦誘導弾能力向上型(射程約1000キロ、対地攻撃も可能)と島嶼防衛用高速滑空弾早期装備型(射程約900キロ、対地攻撃用ミサイル)が初めて展示された。どちらも兵器産業最大手の三菱重工が受注し、開発・量産している。ミサイルの試射もすでにおこなわれた。

防衛省は今年8月29日、12式地対艦誘導弾能力向上型を今年度中に陸自健軍駐屯地(熊本県)の第5地対艦ミサイル連隊に、27年度に陸自富士駐屯地(静岡県)の特科教導隊に配備すると発表した。
また、同誘導弾能力向上型を艦艇から発射できる艦発型ミサイルを海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)配属の護衛艦「てるづき」に、同じく航空機から発射できる空発型ミサイルを航空自衛隊百里基地(茨城県)に配属予定のF2戦闘機に、それぞれ27年度に配備すると発表した。いずれも対艦攻撃だけでなく、対地攻撃も可能である。

さらに、島嶼防衛用高速滑空弾早期装備型を今年度中に陸自富士駐屯地の特科教導隊に、来年度には陸自上富良野駐屯地(北海道)と陸自えびの駐屯地(宮崎県)に同滑空弾部隊を創設して配備する予定である。
自衛隊が誇示するこれら長射程ミサイルこそ、「戦争をする国」に変貌しつつある日本の現在を象徴している。
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