
北朝鮮当局が「個人の車両所有解禁」というパンドラの箱を開けて以来、国境を越えて密輸された中国製車両による新たなビジネスチャンスが生まれる肯定的な変化がある一方、車が格差拡大の象徴と見なされ反発が醸成されている。両江道(リャンガンド)と咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部取材協力者たちは、密輸車両流入による社会変化と葛藤について伝えてきた。(チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)
<北朝鮮内部>中国との大規模車両密輸、その構造と目的を探る(1) 「国家密輸」の拠点は恵山 タクシーやレンタカー事業で各地に需要
◆供給過剰で共同購入と分割払いまで登場
個人の車両所有の許可により、北朝鮮に不法に流入する車両の台数は大幅に増加したが、一方で購買力が追いつかず、供給過剰が生じているという。両江道の取材協力者A氏は11月中旬、次のように伝えてきた。
「個人車両を許可すると、機転の利く人たちが車を大量に持ち込んだが、実際に買える人は多くない。6カ月過ぎても売れず、タイヤが傷むのを防ぐため石を敷いて支える車もある」
売れ残り対策として新たな購入、支払い方式が登場した。1つ目は、「共同購入」である。A氏は「個人が3~5人で資金を出し合って1台の車を購入し、共有して必要な時に使う方法が流行している」と伝えた。
2つ目は、「分割払い」だ。
「車両代金を一括で支払うのではなく、1年以内で分割して支払うこともできるし、水産物などの得た収益金で後払いすることもできるようになった」
車を持ちたいという欲望が、販売と支払い方法に新たな変化をもたらしたのだ。

◆地域と階層による需要の違い
車両の所有と活用の仕方は、地域や階層ではっきり異なっているようだ。北部地域では「実用性」が優先されているようだ。
両江道の取材協力者B氏は11月初旬、「舗装されていない道路が多い特性上、電気自動車は発電機の故障が頻発するため敬遠される。パワーのあるディーゼル車と手動変速車両(マニュアル車)が好まれる」と述べた。
しかしである。今年9月、恵山(ヘサン)市に所狭しと停められている密輸車に、驚くほど多くの高級乗用車と電気自動車の姿があった。これら高級車の多くは、列車やトレラーに積まれて他地域に運ばれていくという。
このことから推測すると、恵山をはじめとする国境地域では実用性を優先した安価で頑丈な輸送用車両の需要が多く、平壌や咸興(ハムフン)をはじめとする大都市では、個人の地位と富を誇示する目的で高級乗用車の需要が高い可能性がある。
実際、平壌在住の中国人留学生がSNSに投稿した動画では、黄色いナンバープレートを付けた高級乗用車が平壌の街中を走る姿が頻繁に紹介されている。
車両が増えるにつれ、運転免許取得費用も急騰したという。B氏は10月の報告で、「3ヶ月の短期集中教育で免許を取得できるが、車両を運転しようとする人が増えたため、従来は300~500元だった免許取得費用(賄賂含む)が1200元まで上昇し、試験も厳格化された」と伝えてきた。
※100中国元は約2200円












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