今年見直しの検討が予定されているアスベスト(石綿)被害の救済と予防を目的とした2つの制度について、主要政党がどのような政策で取り組むのか。被害者団体が実施した公開質問から読み解く。(井部正之)

◆参政党は回答せず
石綿による被害者の「隙間なき救済」を掲げて2006年1月に成立した石綿健康被害救済法(石綿救済法)は、労災以外の石綿による健康被害を発症し、一定の基準を満たした者に対し、医療費の自己負担額や月額約10万円の救済給付を支給する仕組み。ところが肺がんの認定基準が労災より厳しいうえ、被災者に妻子がいて子育て中などの場合に生活が困難との課題が放置されたままになっている。
大気汚染による健康被害の防止と事業者の賠償責任を定めた大気汚染防止法(大防法)は、建築物などの石綿の適正な除去方法などを定めるが、筆者の調べた限り「国際的に40年遅れ」といわざるを得ず、周回遅れどころではない状況が続いている。
両法とも今年改正について検討することになっており、そのゆくえが注目される。
衆院選を前に被害者団体「アスベスト患者と家族の会連絡会」は1月19日、主要8政党(自由民主党、日本維新の会、中道改革連合、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、参政党)に対し、石綿被害の救済と健康管理、予防策について公開質問状を電子メールで送付。2月2日までに7党から回答を得た(参政党は回答せず)。
同連絡会が尋ねたのは2項目あり、1つは石綿救済法の課題について、「現状としては、同じアスベスト被害なのに格差があるので、救済給付を労災制度のように改善していただきたいこと、本来労災で給付すべきものが救済給付に流れている問題、埋もれがちな肺がんや石綿肺を掘り起こすという課題、労災時効救済(特別遺族給付金)について、JR職員遺族は救済されるのに、旧国鉄職員遺族が救済されないという格差、労災給付基礎日額の是正を患者だけでなく遺族にも遡及適用すべきこと、労働者以外のアスベストばく露に関する健康管理が一部地域に限定されている問題などがあります」と指摘。
これを踏まえて、石綿被害の「すき間ない救済」と健康管理のための検討において、厚生労働省「過労死等防止対策推進協議会」と同様に「公益・労働者代表・使用者代表」との国際労働機関(ILO)の3者原則に当事者代表に加えた4者で構成される「石綿健康被害救済推進協議会」を創設した検討を求めている。
これまでは環境省が選んだ医師や法学の専門家に混ざって支援団体の委員1人がいる状況で、5年前の検討で初めて支援団体の会員として当事者の被災者自身が委員になった経緯がある。しかし複数の被害者団体があるにもかかわらず、1団体のみの参加となっており、過労死対策の協議会では、当事者、使用者、労働者の各代表を同数としていることからも公平性に欠ける。
同連絡会はこうした観点を踏まえて「課題を検討していただきたい」として各党に見解を求めた。























