JR東日本が鉄くずとして売却した鉄道車両の電気暖房器に基準(重量の0.1%)超のアスベスト(石綿)が含まれていたことが後に判明し、労働安全衛生法(安衛法)違反の疑いで書類送検された。鉄道各社で類似事案が繰り返されるなか、初めてのことだ。なぜ今回は送致までにいたったのだろうか。(井部正之)

◆「最大罰則」の違反繰り返す
この事件は2025年7~8月、同社長野総合車両センターで鉄道車両の解体で発生した電気暖房器380個を鉄くずとして売却。9月に別業務で座席確認作業をした際、暖房器の存在に改めて気づいて図面を精査したところ、石綿を含むパッキンや絶縁テープが使用されていたことがわかったのだという。その後の分析で基準超の石綿含有が裏付けられた。
同社長野支社は、「本来、廃車解体にあたっては事前調査により石綿含有部品を確定し、分別・撤去・適正処理を行う必要がありますが、今回の暖房器については事前調査対象から漏れており、結果として石綿を含むまま売却されてしまいました」(広報室)と説明する。
所轄の長野労働基準監督署によれば、9月18日に同車両センターから「石綿を譲渡してしまった」と連絡があって発覚した。
これは同社が任意で報告したわけではない。安衛法の石綿障害予防規則(石綿則)は、第50条で製造・輸入業者に対し、基準超の製品が新たに見つかった場合などに、譲渡・提供をしていないとしても「遅滞なく」所轄の監督署に報告するよう義務づけているからだ。
同監督署は複数カ所で採取した絶縁テープを分析して基準超の石綿を含むことを確認。安衛法第55条で禁止された石綿の譲渡に該当するとして1月23日、同法違反の疑いで同社と同車両センター所長の男性(50代)を長野地検に書類送検した。
今回送検した理由について、同監督署に尋ねると、「第55条は安衛法で最高罰の違反であり、(JR東日本は)それを繰り返している」との重大性を挙げる。
安衛法第55条は石綿などを基準超含む製品の製造・輸入・譲渡・提供・使用を禁止しており、起訴されて有罪になれば、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(両罰あり)。同監督署がいうように同法でもっとも重い罰則である。それを何度も繰り返していることが理由という。
同社長野支社は、「当社における解体工事に起因して地域のみなさま、ご利用のお客さまをはじめ関係のみなさまに多大なるご心配とご迷惑をお掛けし深くお詫び申し上げます。書類送検の措置を受けたことについて、これまでの対策が一過性のものであり、体系的な教育の実施や業務の仕組みの構築に至っていなかったことに原因があると認識し、重大に受け止めております。こうした不適切な処理が行われる環境が継続していたことに関するガバナンスの責任を厳粛に受け止め、今一度、全社で再発防止を徹底し信頼回復に努めてまいります」(広報室)とコメントした。























