◆問われる市の“教訓”と残された課題
国交省の調査者制度は、その後厚生労働省と環境省を加えた3省共管に変更。座学のみの「一般建築物石綿含有建材調査者」が新設され、建物などの改修・解体時の石綿調査については、2023年10月から講習を修了した有資格者が実施することが義務づけられた。
一方、当初目的とされた「建物の通常使用時」における有資格者による石綿調査は、審議会で義務づけの必要性が指摘されたものの、国交省が拒否し、いまだ制度化にいたっていない。そのため、いまだに「建物の使用中」だけは“素人”調査が横行する状態が放置されている。
規制上、義務づけではないとの制度の不備がある。しかしすでに飛散事故を起こした堺市でも単に法を守るだけでよいのか。そもそも断熱材の石綿把握が適切にされていなかったことが原因で飛散事故が起きたにもかかわらず、それを防ぐ対策が講じられていないのが現状だ。これでは今後も同様の見落としが相次ぐだろう。
もちろん「レベル1」の吹き付け石綿や煙突断熱材など「レベル2」に限ったことではない。スレートをはじめとする成形板など「レベル3」も同様だ。いずれも把握されずにいれば、気づかないまま小規模な修繕時などにばく露するようなことも起こりうる。
実際に天井裏の吹き付け石綿が見落とされていた4小学校のうち、天井板の破損や欠損があった2校で修繕した際に石綿飛散防止対策が講じられていなかった。市は「業者が大丈夫と説明しているから大丈夫」との趣旨のあいまいな説明に終始。石綿含有が明らかになっていても、ずさんな対応がされていた。
前出・連絡会はこの点についても、「今回の委員会では再発防止のあり方については議論の対象外としているようだが、適切な再発防止策が位置づけられていないにもかかわらず、10年の節目で検討すらしないのはおかしい」と言及。
続けて、「再発防止に必要なのは、使用中の建物について、網羅的かつ徹底したアスベスト調査(調査不可能な隠ぺい部は記録)で、そのうえで、適切な管理をしていくこと」と指摘のうえで、専門家に「子どもが利用する施設について何カ所かずつ現状の調査結果・管理体制について再調査・検証してもらい、改善していくことが必要」と提言する。
要請を受けて市は「庁内で共有し検討します」と述べたが、なんらかの対応が講じられるのだろうか。
市議会でも一連の問題について何度も追及されてきた。そのたびに市側は「このたびの事案を教訓として、再び引き起こすことのないよう、全庁挙げて組織横断的に再発防止に取り組む」などと答弁。
筆者は有資格者による市有施設の石綿調査・管理の必要性について、何度も市側に指摘してきた。ところが十分検討されないまま捨て置かれている。10年前に園児らの命を危険にさらした“教訓”とはいったいなんだったのか。節目の年だからこそ、改めてきちんと残された課題を議論すべきではないのか。























