選挙に関わる違法献金を受けた疑いのある高市早苗首相。公式インスタグラムより

高市早苗首相が代表を務める政党支部「自由民主党奈良県第2選挙区支部」(以下、奈良第2支部)が、2024年10月に行われた総選挙直前に国と契約関係にあるトヨタ関連企業2社と別の1社から計110万円の企業献金を受け取っていたことが、政治資金収支報告書などを調査した結果分かった。公職選挙法では国と契約関係にある企業などが国政選挙前後の一定期間に寄付行為を、「特定寄付」として禁止している。候補者個人が受け取らなくても、役員として関わる政党支部が受け取ることも禁じられており、違法献金の疑いがある。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆トヨタ系列社が国との契約期間中に高市氏側に献金

高市氏が代表を務める「奈良第2支部」は、2024年8月22日に「奈良トヨタ」から75万円の企業献金を受け取った。「奈良トヨタ」は国と契約期間中だった。

「奈良トヨタ」は、国の機関である近畿地方整備局と「乗用自動車(1台)交換契約」を7月5日に261万円で契約している。古いトヨタ車を下取りに出し、新しいトヨタ車を納入するという契約だ。入札公告によると履行期限は10月31日となっていることから、「奈良トヨタ」が高市氏の「奈良第二支部」に寄付をした8月22日は、国と契約期間中だった。

「トヨタレンタリース奈良」のケースも同様だ。やはり8月22日に「奈良第二支部」に15万円を寄付している。同社は近畿地方整備局と「中南和建設監督官詰所 自動車賃貸借」を4月2日に契約している。契約期間は年度末の2025年3月31日までだ。

トヨタ系列の会社以外も特定寄付をしている。近畿地方整備局が発注した「国道事務所管内測量業務」(契約期間: 2024年5月16日〜2025年3月31日)を受注した「天理技研株式会社」は9月19日に20万円の寄付をしている。

高市首相の「奈良第2支部」がトヨタ関連2社から選挙期間中に献金を受けたことを示す政治資金収支報告書

◆選挙のあった24年は前年の10倍以上の企業献金

自民党の裏金疑惑など政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は次のように解説する。

「高市首相の『奈良第二支部』が受け取った企業献金は、2022年が456万円、2023年が622万円でしたが、2024年は6178万円へと大きく膨れ上がっています。『奈良トヨタ』は、23年1月下旬に100万円、24年2月下旬に100万円し、さらに本件の75万円を8月に寄付していました。

『奈良第二支部』の22、23年分収支報告書における明細の記載義務のある5万円超の法人寄附欄を見ても、『トヨタレンタリース奈良』と『天理技研』からの寄付は見当たりません。3社の寄付は総選挙に関する寄付だったとしか考えられないのです」

「奈良トヨタ」は、2023年にも「奈良第二支部」へ寄付をしていたが、「トヨタレンタリース奈良」と「天理技研」は、前年の2023年には「奈良第二支部」に寄付は行っておらず、選挙が行われた2024年にだけ寄付を行っている。また、トヨタ系2社が企業献金をした8月22日は、岸田文雄首相(当時)が退陣表明し、自民党総裁選挙と、解散衆議院選挙が行われる可能性が高まっていた時期だった。

「トヨタレンタリース奈良」が近畿地方整備局の自動車賃貸契約を落札したことを示す文書。

◆選挙するのが明らかな時期に献金 「選挙動機なら違法な寄附」

上脇教授は、「奈良第二支部」への企業献金が衆議院選挙と関連するものだったと強調する。

「24年の衆議院総選挙は、9月の自民党総裁選で新総裁になった石破茂議員を総理とする自公内閣が10月に衆議院を解散して行なわれましたが、この総裁選のもっと前から解散総選挙が間近に迫っていることが当時の報道で明らかでした。

例えば、毎日新聞は2024年当初予算が成立したことで、岸田総理が『今後、半年後に迫る9月の自民党総裁選での再選に向け、衆院解散時期の検討を本格化させる見通しだ』と3月下旬に報道していました」と、報道各社の情報をもとに、選挙が近いうちに行われる空気ができていたとした上で、次のように述べる。

「公選法が禁止する、『選挙に関して』なされる寄付とは、選挙期間中に限定されませんので、選挙が予想される時期でも選挙後でも、選挙に関する事項を動機とした寄付がなされれば、それは違法な寄附なのです」

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