◆「スパイ防止法」はもっともらしい仮面をつけて現れる
「国家秘密法制や治安立法など危ない法律は必ず、もっともらしい理由、名目をつけ、必要不可欠と見せかけて、法案が提出されます。しかし、それは仮面であって、弾圧の仕掛けは見えないように仕込んで成立が図られるのです」と、大住さんは注意をうながし、次のように警鐘を鳴らす。
「『スパイ防止法』の場合も同じように仮面をつけて現れるでしょう。国家秘密法制や治安立法はどのような条文であれ、それを使う側(当局)しだいで、いかようにも適用され、冤罪につながる危険性があります。軍機保護法の改正に伴う付帯決議も歯止めにはなりませんでした。歯止めとなる事項は付帯決議などではなく、必ず条文に書き込まれなければ意味がないのです。『スパイ防止法』に秘められる政府の狙いを見抜かなければなりません」
「『宮澤・レーン・スパイ冤罪事件』は、国家権力によるスパイ冤罪事件が戦争への道と一体となった生々しい史実です。『スパイ防止法』が制定されたら、もの言えぬ空気がつくられ、ふたたびスパイ冤罪におとしいれられる被害者が出るおそれがあります。制定すべきではありません」

「北大生・宮澤弘幸『スパイ冤罪事件』の真相を広める会」と「宮澤・レーン事件を忘れない!北大・戦後世代をつなぐOB/OGの会」は、宮澤氏の命日である2月22日に、「顕彰追悼命日墓参」(2013年から)を、宮澤氏らが不当弾圧された12月8日に、「不当弾圧抗議墓参」(2018年から)を、宮澤氏の墓所である東京都新宿区の常圓寺で毎年おこなっている。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。























