◆自衛隊の防諜部隊としての情報保全隊

情報保全隊は自衛隊の内部情報の保全、すなわち外部への漏洩防止を本来の任務とする。2003年3月27日に発足した。前身の組織は調査隊という。全国を五つに分けた陸上自衛隊の各方面隊(北部、東北、東部、中部、西部)ごとに情報保全隊が配置され(北部方面は札幌、東北方面は仙台、東部方面は朝霞、中部方面は伊丹、西部方面は健軍の各駐屯地内)、本部は東京市ヶ谷の防衛庁(現防衛省)内に置かれた。隊員の数は07年当時で約900人。09年8月に改組され、防衛大臣直轄の自衛隊情報保全隊となった。
 
情報保全隊の本来の任務は、「陸上自衛隊情報保全隊に関する訓令」(2003年3月24日付)で次のように定められた。

「情報保全隊は、陸上幕僚監部、陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関並びに別に定めるところにより支援する施設等機関等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集整理及び配布を行うことを任務とする」

イラク戦争が始まる直前の東京市ヶ谷の防衛庁(現防衛省)、自衛隊の情報保全隊の本部が置かれる(2003年3月撮影)

それを裏づけるように、調査隊を情報保全隊に改組するための「防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正法案」の国会審議においても、当時の中谷元防衛庁長官が、新設される情報保全隊の情報収集の業務の対象は、「あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定をした関係者のみに限定する」と答弁している(2002年4月4日、衆議院安全保障委員会)。   
 
このように情報保全隊はあくまでも自衛隊の内部情報の保全が本来の任務であり、その限りで必要な資料・情報を収集できるのだ。自衛隊の内部情報の保全と関係のない国民・市民の活動を、監視・情報収集の対象にしていいはずがない。ところが、情報保全隊はそれを全国各地で密かにおこなっていたのである。
 
なお、中谷防衛庁長官(当時)は前出の答弁を補足して、自衛隊部隊の保全のため情報保全隊がおこなう業務を、次のように例示している(同前)。

「自衛隊に対して不当に秘密を探知しようとする行動、基地・施設等に対する襲撃、自衛隊の業務に対する妨害、職員を不法な目的に利用するための行動等、このような外部からの働きかけなどから部隊の秘密、規律、施設等を防護するために必要な資料及び情報を収集、整理し、所要の部隊に配布をする」

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