「スパイ防止法」とその関連法制である「外国代理人登録法」には、戦争反対や政府批判の声を封じる狙いが秘められている。排外主義を煽り、国民監視体制を強めることにもつながってゆく。政府が進める国策に反対する国民・市民への監視は、以前からおこなわれていた。その典型的な事例が「自衛隊の情報保全隊による国民・市民監視活動」である。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆内部文書「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」

2007年6月6日、自衛隊の情報保全隊による国民・市民監視の恐るべき実態が明らかになった。共産党の志位和夫委員長(当時)が記者会見で、同党が独自に入手した自衛隊の内部文書にもとづき、「自衛隊による違憲・違法の国民監視活動」と告発し、マスメディアで報じられた。
 
明らかにされた内部文書は二つで、当時の陸上自衛隊の防諜部隊である情報保全隊(現自衛隊情報保全隊)が2004年(平成16年)に作成したものだ。「情報資料について(通知)」と「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」である。文書の量はA4判で合計166ページあった。

自衛隊の情報保全隊の内部文書「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」(平成16年1月20日付)

 前者は東北方面情報保全隊(現在は自衛隊情報保全隊の東北情報保全隊)が2004年1月7日~2月25日、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島の東北6県において監視・情報収集した記録(一部、03年12月の分も含む)である。後者は情報保全隊本部が03年11月24日~04年2月29日の、全国各地での監視・情報収集の記録をまとめたものだ。
 
いずれも自衛隊のイラク派遣に反対する国民・市民の活動、すなわち街頭宣伝、ビラ配布、署名集め、デモ、集会などを主な対象としている。「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」の冒頭には、監視・情報収集の趣旨として、こう書かれている。

「本件は、自衛隊イラク派遣に対する国内勢力の反対動向に関する全国規模のものを週間単位でまとめたものであり、今後の国内勢力の動向について分析の資とするものである」

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