◆プライバシー侵害の情報収集は違法の判決
裁判で原告側は人格権、プライバシー、言論・表現の自由などが侵害されたことに加え、情報保全隊の監視・情報収集は自衛隊法などにも法的根拠がなく、行政機関保有個人情報保護法にも違反する違憲・違法な行為だと主張した。
一方、国側は「プライバシーの概念自体が不明確で、憲法で保障された権利と言い難い。情報保全隊の活動は国民の権利を侵害しない範囲で実施されている上、情報収集も必要な範囲内で、個人情報保護法の趣旨を逸脱していない」と反論した(『河北新報』2008年3月6日朝刊)。
2012年3月26日、仙台地裁は原告107名のうち5名(地方議員4名、住民1名)について、自衛隊の「情報収集は人格権を侵害し、違法」と認め、国に計30万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。差し止めの訴えは却下した(『河北新報』2012年3月27日朝刊)。
判決は、5名については「活動状況にとどまらず、氏名や職業、政党など思想信条に直結する個人情報を収集し、自己の個人情報をコントロールする権利を侵害した」と指摘したうえで、「情報収集の目的や必要性について、国側から具体的な主張はなく、情報収集は違法とみるほかない」と判断した。他の原告102名については、「文書に個人情報の記載がなく、情報保全隊が個人情報を収集したとは認められない」として賠償請求を退けた(同前)。
差し止めの訴えに関しては、「差し止めを求める『表現活動の監視による情報収集等』が明確な用語ではないなど、対象が特定されておらず、不適法」と判断した(同前)。
原告側は、「自己の個人情報をコントロールする権利を人格権に位置づけた画期的な判決」と評価する一方、「監視は人権侵害で違憲・違法と宣言すべきだった。差し止めの訴えを却下したことは一貫性を欠く」などとして、控訴する方針を示した(同前)。

仙台高裁での控訴審判決は2016年2月2日。地裁判決で損害賠償の対象となった原告の住民1名についてだけ、「公表していない本名や職業という情報を違法に収集され。プライバシーが侵害された」として、10万円の損害賠償を国に命じるものだった。(『河北新報』2016年2月3日朝刊)。
同じく地裁判決で損害賠償の対象となっていた他の4名については、地方議員として公の場で活動していたことを理由に賠償請求を認めなかった。差し止めの訴えは「対象が特定されておらず、不適法」として却下された(同前)。
高裁判決は「イラク派遣反対運動の一部には実力行使を含むものもあり、自衛隊が情報収集すること自体は違法ではない」とし、違法性の認定には、1.目的や必要性 2.収集・管理方法 3.情報の秘匿性などを総合的に考慮する必要があると判断した(同前)。
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