【アフガニスタンは渡航制限国だったが、事件後、イラク、ソマリアとともに渡航禁止国に(韓国外交通商部のホームページに掲載された告知)】

人質全員解放
アフガニスタンでタリバンに拉致された韓国人人質全員が解放された。
韓国では事件発生直後から、拉致された「センムル(泉の水)教会」信徒たちに対して、多くの人びとが安否を気遣う一方、なぜ、イスラム教徒がほとんどを占めるアフガニスタンにキリスト教の布教活動目的で入ったのか、強い批判の声が上がっていた。

「無謀過ぎるアフガニスタンでの宗教活動」(朝鮮日報、7月21日社説)、「無分別な海外宣教、これ以上いけない」(ソウル新聞、7月25日社説)、「水火も辞さない宣教‘危険千万’」(ハンギョレ新聞、8月30日)とメディアの論調も厳しかった。

じつは、過去にも教会による同様の無謀な行動があった。04年4月、牧師7人が宣教活動のためイラクに入国、武装グループに拉致された。この事件は、日本人人質事件と同じ場所で起きている(のちに牧師らは解放された)。 同年11月、他教会の牧師5人がやはりイラクに入国するも韓国政府の説得で出国している。こうした事件が起きるたびに、韓国社会では事件解決を願う思いと、人質になった人間の無謀さを責める声が交錯してきた。

韓国人の宣教活動は、ときに積極さを通り越して、強引と映ることもしばしばだ。かつて私が通っていた日本語学校でも、毎日、教会の人がやってきて韓国人留学生を熱心に勧誘していた。こうした様子は今でも変わっていない。
事件直後、韓国社会はキリスト教会に批判を浴びせたが、しだいに韓国政府、さらには同盟国アメリカに批判の矛先を向けた。

「もともとアメリカの要請で韓国軍はアフガンに派兵されたのであり、アメリカにも事件の責任はある」「交渉を妨害しているのはアメリカだ」としてアメリカ大使館前で抗議行動も繰り返された。
事件では、政府の現地情勢に対する無知と外交力の弱さと、コネクションの不在が一気に露呈することにもなった。韓国政府は事件直後、アフガニスタンに専門家としてアラビア語を教えている大学教授を送った。

アフガニスタンはダリ語が主要言語であるうえに、タリバンの多くはパシュトゥン語ということもわからなかったのか、とメディアは政府の対応を責めたてた。
この40日間、韓国は事件に揺れた。そしてさまざまな問題を韓国社会に投げかけた。人質全員解放で安堵が広がっているが、殺害された牧師2人はあまりにも大きな代償だった。
宣教を伴った韓国の教会の支援活動、そして韓国メディアは事件をどう伝えてきたか、振りかえってみたい。
(続く)

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