かれらの間では、やはり「独立」が、資金調達・支持拡大の武器なんだという認識があったようだ。「独立」をちらちらみせることで、例えば日本人の台湾への関心も引き出してくれる。まさに打ち出の小槌であった。

彼女はさらに、全部知っていることをばらしてあげるから、お母さんの許可を受けるわねといいながら、携帯をとりだし、母親(呉淑珍)に電話するふりをしたりした。そして、民進党幹部の名前を逐一挙げながら「彼らはみなお父さんから金をもらっていたのよ」という。

彼女自身、「資金」の存在をある程度認識していた。そしてそうした資金の運用を巡って、子供たちを含め家族の間で、いろいろな話が直接間接に頻繁に交わされていたことがうかがえる。彼らは、一定の犯罪意識をもちながら(総統自身もその長男も法学部卒)、これらは国民党もみんなやってきたことだからと自らを納得させていたのである。

戦後台湾に新しい支配者として乗り込んだ中国人を、台湾人はその欲深さを評して「ブタ」と呼んだ(ちなみに日本人は「イヌ」)。そして、中国国民党の独裁体制と中華至上主義を批判し、それに対するアンチテーゼとして民主化と台湾化を掲げて登場したのが、民進党であり、そのプリンスたる陳水扁だったはずである。

しかし彼らがやっていることは、自ら認めているとおり、中国国民党のやってきたことそのものだった。陳水扁は、完全な「台湾之子」であるとともに、一方で忠実な「中国之子」でもあった。
国際用語「チャイニーズタイペイ」をどう漢字で表記するか。日本のメディアは中華台北と訳しているようだが、台湾の友好国のなかには中国台北と訳しているところがあったりする。

台湾が取り繕ってきた国家の体裁は、このままでは内部から腐食が進んでいきかねない。
陳総統夫人たる呉淑珍が、明日の公判に出廷する可能性が取り沙汰されているが、彼らがすべての事実をあからさまにしない限り、チャイニーズタイペイが台湾になる日は来ないのである。

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