人々は、よく「多様性(diversity)」という言葉を用いてニューヨークを表現する。移民が集まるこの街には様々な国籍・民族的背景を持った人々が混在しているということを示すのだが、それは同時に、文化の発信地でもあるこの都市の人たちが、いかなる価値観をも受け入れているという意味でもある。
価値観が様々なら愛情表現も多種多様だ。

3月10日ニューヨークのマンハッタンにて 撮影 宮崎紀秀 (一部デジタル加工してあります)

 

スクーターのバックミラーに誰かが残した口紅の跡。鏡に映った恋人と交わした口づけなのか、それとも自分以外の女性を後部座席に座らせないための可愛い警告なのか。
ニューヨークの人たちは、時としてごく自然に映画スターのような振る舞いを見せる。肌寒さから逃れようと人々が足早に行き来するマンハッタンの街角で、誰かが茶目っ気たっぷりに振る舞い、愛しい人の心を暖めたことであろう。
【ニューヨーク=宮崎紀秀】
※ニューヨーク在住のジャーナリスト宮崎紀秀氏の写真エッセイを連載していきます。

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