美香さんの訃報を聞いてから、やり切れない自問の時間が続く。痛かったやろうな、怖かったやろうな、家族のこと心配やったやろうな。
美香さんのような生き方にあこがれていたし、今でも尊敬するけど、まっすぐすぎる正義感や行動力が死をもって報いられる結果は、自分の土台を支える心の柱の何本かをボキッと折ってしまった。
まだまだやりたいことあったやろうな、悔しいやろうなって思うと涙が出る。こんな最後ってやっぱりさみしいわ。
この一カ月ほど、シリア入りに向けてリサーチと準備を重ねてきたけど、ちょっとくじけてしまった。そんな自分のことはどうでもいいけど、今でも美香さんや佐藤さんのように爆弾が落とされる側に身をおいて、命がけで取材や撮影をしている人たちがいる。何より、戦闘員でない女性や子どもたちがそこでまだ生活を続けざるをえない現実を美香さんは死んでも伝えている。
現地で取材をするフリーのジャーナリストは基本的に自分の責任で決断・行動するわけで、何の後ろ盾もないし、金銭的な見返りなどろくにないなのも明白やけど、それでも彼らが命がけで伝えようとしていることは伊達じゃない。そこにもっと関心が払われたらいいのに強く思う。難しいことやけど、あきらめたら終わりやからね。
怖い経験とか重ねると現場に行くのを躊躇する理由が自分の中からなんぼでもわいてくるけど、それでも行く価値とは何か、撮り続ける理由は何かを考えている。美香さんにそんなことをもっと聞いてみたかった。渋谷敦志

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