立岩陽一郎(ジャーナリスト)

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【連載開始にあたって編集部】
新聞、テレビなどマスメディアの凋落と衰退が伝えられる米国。経営不振で多くの新聞が廃刊となりジャーナリストが解雇の憂き目にさらされるなど、米メディアはドラスティックな構造変化の只中にある。 いったい、これから米国ジャーナリズムはどこに向かうのか。米国に一年滞在して取材した 立岩陽一郎氏の報告を連載する

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第2章 非営利ジャーナリズムの夜明け

スティールさんとバーレットさん

スティールさんとバーレットさん

「よく来たね。この辺はわかりにくいだろう。ワシントンDCと違って、ここは昔からの古い街だから、ごちゃごちゃしていてね」
フィラデルフィアの住宅街。長屋と言っては失礼だが、ヨーロッパ的な向こう三軒両隣と言った感じの古い住宅の密集した一角にその人の家はあった。お目当ては、IRW(Investigative Reporting Workshop)を、そしてIRW代表のルイス(Charles Lewis)を語る上で、どうしても会わなければいけない人。
「この家は建って120年になるんだ。私たちが購入したのは40年前、新聞記者だった頃だがね」
今も現役にこだわるこの道40年余りのベテラン・ジャーナリストは、夫人とともに私を温かく迎え入れてくれた。

ジェームズ・スティール(James Steal)。米国における伝説の調査報道ジャーナリストの1人だ。
「ドンの家には後で一緒に行こう」
ドンとは、ドナルド・バーレット(Donald Barlett)。スティールの相棒だ。この2人はチームを組んでフィラデルフィア・インクアイアー紙(The Philadelphia Inquirer)の調査報道査をリードした。

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