他国に流血を強いる国に
◆「それが戦争だ」と、ブッシュは言った。
安倍政権は今国会で、秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案をセットで成立させようとしている。
秘密保護法が必要だとする安倍政権は、その理由として、国家安全保障会議が設置された場合、米国など同盟国と秘密情報を交換・共有する際に、厳重な秘密保全をしなければならないからだと強調している。

安倍政権が外交・防衛政策の司令塔にと意気ごむ国家安全保障会議は、米国のNSC(国家安全保障会議)をモデルにしている。NSCは外交・国防政策の審議・調整などをする機関で、大統領、副大統領、国務長官、国防長官が構成メンバーだ。必要に応じてCIA(中央情報局)長官、財務長官、司法長官、統合参謀本部議長など政府や軍の高官らも会議に参加する。

国家安全保障会議という言葉に接して、私が真っ先に思い浮かべることがある。それは2001年の「9.11テロ事件」直後の同年9月13日に、ホワイトハウスで開かれたNSCの席上、CIA対テロリズム・センターのブラック所長(当時)が、ブッシュ大統領(当時)にアフガニスタン攻撃作戦の秘密工作について説明したときの会話である。

ブッシュ政権の内幕を描いたノンフィクション『ブッシュの戦争』(ボブ・ウッドワード著 伏見威蕃訳 日本経済新聞社 2003年)に出てくる。
「『しかし、ご理解願いたいのですが、大勢の人間が死ぬでしょう。一番嫌なのは、アメリカ人――私の同僚や友人たち――も死ぬだろうということです、大統領。ですから、これが流血のない戦争だなどという錯覚だけは避けていただきたいと存じます』

『それが戦争だ』と、ブッシュは言った。
『この戦争で人命が失われることを受け入れなければなりません。どれぐらいになるかは、わかりません。かなり多いかもしれません』

『わかった』。ブッシュは言った。『やろう。それが戦争だ。われわれはその戦争に勝つためにいま集まっている』」
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