◇許議長「金正恩元帥様の領導は総連の生命線」
最も重要な今年の方針については「全ての総連の働き手たちはまず、敬愛する金正恩元帥様の唯一的領導を生命線として握り締め、組織建設と愛族(民族)愛国運動を偉大なる金正恩時代の要求に合わせ展開していく」と明かした。この実践のために、全ての働き手たちに対し「領導者(金正恩氏)の思想と意思でがっちりと武装すること」を要求している。

昨年6月から7月にかけて、北朝鮮では39年ぶり「党の唯一領的導体系確立のための十大原則」が改訂された。もちろん、金日成―金正日時代の一人絶対独裁システムを、金正恩時代に合わせるためのものだ。この「十大原則」は、北朝鮮において憲法や労働党規約を超越する最高の「掟」である。新「十大原則」は、金日成-金正日を同列に並べ崇拝の対象とし、金正恩氏こそがその唯一の代理人=後継者であるとするものである。許議長の演説を見ると、在日組織の朝鮮総連でも、新「十大原則」に基づいて金正恩絶対化を徹底することが決まったものと思われる。

◇「組織取り巻く環境はいつになく厳しい」
演説ではまた、日本で朝鮮総連の置かれた状況を確認するような文脈も見られた。許議長は「われわれを取り巻く日本の政治状況は、総連結成以来いつになく厳しい」とし、「軍国化、ファッショ化を推し進める日本は、共和国(北朝鮮)敵視政策を強めていくものと思われ、その一環として総連組織と民族教育をはじめ愛族愛国運動に対する弾圧と妨害をより悪辣に敢行する可能性がある」と分析している。

その上で、総連の働き手の役割として「内外の反動(勢力)たちの謀略策動に対し警戒心を高め、共和国の最高尊厳(金正恩氏)を生命よりも大切に仰ぎ、擁護していく」ことを要求している。

◇日本語版記事には掲載されず
今回の決起集会に関する記事は、15日現在、朝鮮新報朝鮮語版だけでの掲載にとどまっており、日本語版ホームページに見られない。重要な集会であるはずの決起集会が開催されたという短信すら、日本語版には無い。独裁者に無条件に追従するという時代錯誤的な内容が日本社会に与える影響を考慮し、掲載を見合わせているのか、単純に記事整理に時間がかかっているのかは分からない。

朝鮮総連は地域の在日朝鮮人コミュニティを支える役割も果たしており、そうした場では今回の決起集会で言及されたような思想的に過激な内容は逆に「タブー」とされることが多い。許議長により発表された「方針」が、今後、総連の活動の中で現実的にどの程度反映されるかについては見極めていく必要がある。
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