広島、長崎に原子爆弾を投下されてから70年。以来、戦争で原爆が使われたことはないが、世界各地で核実験は繰り返され、核兵器を持つ国も増えている。日 本は核兵器こそ持たないが、その原料となるプルトニウムを大量に保有し、潜在的核兵器保有国とまで言われるようになった。この問題について、元京都大学原 子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆プルトニウムはなぜ生まれたか
ラジオフォーラム(以下R):広島と長崎に投下された原爆は、それぞれタイプが異なるそうですが、その違いを教えていただけますか。

小出:自然界に存在する元素で一番重たいものはウランなのです。質量数235のウランは核分裂をする能力を持っ ていて、それを使って作ったのが広島に落とされた原爆です。ただし、質量数235のウランというのは、自然界に0.7パーセントしか存在していません。原 爆として爆発させるためには、もともと0.7パーセントしか存在していない質量数235のウランを、90パーセント以上に濃縮しなければならず、それがも のすごく大変な作業だということで、では別の方法を考えようということになりました。

自然界には全く存在していないプルトニウムという物質を作り出すことができれば、それがまた核分裂する能力を持っているということを物理学者が見つ けたのです。そしてプルトニウムという物質を人工的に作り出して長崎の原爆を作りました。ですから広島と長崎とひとくくりに原爆と言われるわけですけれど も、材料が違うということになります。

R:ウランは濃縮しなければいけないけれど、プルトニウムは濃縮しなくてもそのまま原爆にできるということですね。

小出:少し細かい説明になりますが、質量数235のウランとは別に、質量数238のウランというのが、天然のウ ランの99.3%を占めているのですが、それに中性子という素粒子を吸わせることができると、自動的にプルトニウム239という、核分裂する能力を持った 原子核ができてくるのです。それをつくり出せば、ウラン濃縮とかプルトニウム濃縮とかいうことをせずに、原爆ができるということを物理学者が見つけたので す。