闇市場で米国からの支援トウモロコシが売られている。1999年12月に清津市で撮影キム・ホン(アジアプレス)

◆横領される支援食糧

国際社会は1995年から北朝鮮に対して人道支援を行ってきた。2001年までの総額は21億ドルにのぼり、一国に対する人道支援額としては史上最高であった。

外国からの援助食糧はどう扱われているのかというと、99年夏までのインタビューでは、援助食糧の配給を受けたというのは平安南道から脱出してきた二人。それもトウモロコシと長米を合わせて2キロを一度受け取っただけだと答えた。

残りのほとんどは、援助食糧を口にしたことは一度もなかったと証言。また、中国以外の国から食糧援助が入っていることすら知らない人も少なくなかった。援助食糧の配分を受けても、それを援助食糧だと知らされずにいるケースがあることを示唆している。

また、各機関の幹部たちが、援助食糧を闇市場に売却し現金化しているという証言は、枚挙に暇がないほど聞かされた。

「支援食糧は糧政事務所の倉庫から各地域の供給所(配給所)に配られますが、外国人の支援関係者が引き揚げると、供給所からまた倉庫に戻して闇市場に売り飛ばすんです。幹部たちが欲しいのは食糧じゃなくて現金だから。で、我々庶民はそれを金を出して買って食べるわけです」

と複数の難民が証言する。
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