大阪府守口市の旧市役所庁舎解体工事で発がん物質であるアスベスト(石綿)の調査ミスが見つかったにもかかわらず、市が「事前調査は適正」と解体工事に着工しようとして問題になっている。(井部正之)

アスベスト対策が問題になっている大阪府守口市の旧市役所庁舎(井部正之撮影)

◆横引き煙道のアスベスト見落とし

同市は2018年6月に旧市役所庁舎の解体工事を発注。当初予定では同12月に着工する予定だったが、住民にアスベストの調査結果について説明していないことから抗議を受け、同12月7日に説明会を開催した。

ところが、説明会で住民が不安を訴えるのに対し、調査結果や施工方法について十分説明できなかった。その後アスベスト調査の不備が次々と見つかったのである。

説明会で示された資料では、煙突内部に高濃度のアスベストが使用されているにもかかわらず、煙突とボイラーをつなぐ横引き煙道を調べたかどうか記載がなく、説明もなかった。同12月10日に筆者が市財産活用課に確認したところ、元請けのダイナ建設(大阪市)から市に提出された調査報告書の調査項目から抜け落ちており、調査されていなかったことが判明した。

1月18日の説明会で市側は初めて横引き煙道のアスベスト使用があったことを明かした。調査を実施したのはアスク・サンシンエンジニアリング(横浜市)に所属するJATI協会(旧日本石綿協会)の民間資格「アスベスト診断士」認定者だったそうだが、その場で事実確認すると調査ミスを認めた。

市財産活用課によれば、横引き煙道の調査は筆者による見落としの指摘後、現場確認した際に市がアスクの担当者に聞き、初めてその場で存在が確認されたという。

市の調査結果におかしな部分はまだある。

たとえば石こうボードと岩綿吸音板が二重になっている場所ではそれら種類が異なる複数の建材を混合して1つの検体として分析していたり、屋上の防水シートと下地材を同様に分析していた。同じ建材でも複数の階にわたる計12か所で採取した仕上げ塗材(壁などの表面に施工する塗材)を混合して1つの検体として分析しているなど、不適正な分析がいくつもあった。それらについても同12月10日に筆者が指摘したところ、市はそうした分析内容について認識していなかった。

1月18日の説明会では改めて分析し直しアスベストの含有がなかったと報告された。現場を調査し、複数の建材を混合する分析方法の採用を決めたアスクと分析した日本環境分析センター(大阪府摂津市)はそうした分析方法について「問題ない」との見解である。

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