日本の民間航空の安全を脅かし、円滑な運航を妨げ、日本の空の主権すなわち国家主権を侵害する空域の設定と米軍による航空管制。

それを、日米地位協定上も、航空法上も法的根拠がないのに、日米合同委員会の合意のみによって「事実上」の「委任」をしたなどという解釈で済ませてしまっていいはずはない。

前述のように国土交通省が私の文書開示請求に対し全面不開示としたのは、法的根拠もなく米軍に特権を与えている日米合同委員会の密室協議の実態を知られたくないからだろう。

さらに注目すべきは、『外務省機密文書 日米地位協定の考え方・増補版』には、日米合同委員会は「地位協定又は日本法令に抵触する合意を行うことはできない」という解説が記されている点である。

したがって、航空法上の法的根拠がない米軍による航空管制は、日本法令に抵触しており、そもそも日米合同委員会で合意できるものではないのだ。
だからこそ秘密にしておきたいのである。

日本政府が横田空域や岩国空域の法的根拠はあるというのなら、堂々と文書を公開して、誰もが客観的に検証できるようにすればいい。

文書そのものは秘密にしておいて、そこに法的根拠が書かれていると主張しても説得力はない。民主主義の国としてあってはならないことである。
 続きの第13回を読む>>

[日本は主権国家といえるのか?]連載一覧>>

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

★新着記事