東京の日本外国特派員協会で記者会見に臨んだデビッド・ケイ氏。2016年4月19日、撮影筆者

<東京新聞・望月記者への圧力>国連特別報告者が政府に通知書(1)首相官邸との攻防とは 藤田早苗

山城氏や山岡氏の件に続き、ケイ氏は望月記者の件に関して首相官邸から東京新聞と官邸記者クラブに送られた申し入れ手紙の影響を重く見て「自由権規約19条の表現と意見の自由の保護を確実にするために、貴国政府があらゆる必要な措置を取ることを強く求める」として、記者の役割や情報への権利に与える影響に強い懸念を表明する次のような通知書を送っている。

「記者に特定の質問を避けるよう要求することは、報道機関とその記者を萎縮させるメッセージを送ることになり、政府の持つ情報を求めて、その情報を一般市民に向けて発信する『パブリックウォッチドッグ』(監視役)として知られる彼らの役割を弱めることになる。…(中略)内閣官房からのそのような干渉は望月氏が記者の任務を果たす上での妨害になることを懸念する。また私は、特に政府にとってセンシティブだとみなされるような問題を記者が調査している時に、この文書が彼らの仕事を妨害する危険性があり、よって政府の問題に関する一般市民の情報への権利に影響を与えることを懸念する」

加えて、報道機関や記者の社会における役割と、政府の義務を次のように強調している。

「報道機関や記者は、社会における情報や考えが自由に伝えられるようにする重要な役割を担っている。その役割を十分に果たせるよう、特に役人から情報を得ようとする場合、妨害、抵抗、敵意などなしに、報道機関や記者が公共の利益に関わる情報を求めることができる環境を確保する義務が政府にある」

また「調査報道を行う記者やその他の専門家に対するいかなる形の脅しや威嚇も行わないことを公に表明するよう当局に要請」した2016年の公式訪問後の勧告についても言及している。

最後に「日本における報道の自由の長期的発展と役割を確実にするために、政府、記者そして報道機関には、慣行や政策に関して改めうる点がある。これらの点に関する法律と慣行について、貴国政府との対話を始める機会があれば、私は歓迎する」(3)と締めくくっている。
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