(参考写真)若者は韓国、中国の流行に敏感だ。写真はサマーセーター着ておめかしした女子中学生。2013年10月恵山市にて撮影アジアプレス

韓国のドラマや歌謡の北朝鮮への流入が止まらない。多くの北朝鮮の若者にとって、韓国文化は憧れこそすれ、「敵性文化」だと嫌悪したり警戒する対象ではなくなっており、金正恩政権は処罰強化と思想教育を続けているのだが…。

咸鏡北道(ハムギョンプクド)の協力者は、最近の事情について11月末に次のように伝えてきた。

「学生や若者たちが、集まりの場や食事の席で公然と韓国の流行歌を歌ったり、北朝鮮の歌を歪曲して(替え歌にして)歌うということが珍しくなくない。注意されても、『歌の何が問題なのか』と反発するほどだ。業を煮やした当局は、11月に学校や機関、企業所を対象に、 『不純な歌』の禁止を徹底させる通達が出され宣伝資料まで配布した」

歌ばかりではない。韓国や中国のドラマをこっそり隠れて見る人も絶えない。特定のドラマが取り締まりの標的になったという噂が流れると、そのドラマを見た人に内容を聞かせてほしい、入手してほしいと頼む人が増えるのだという。
「『109常務』が目を光らせて取り締まっているが、人の好奇心というのは、抑えることができないようだ」と、協力者は言う。

「109常務」とは、韓国などの外部情報取り締まりを専門にする機関で、党、軍、警察、検察、保衛部で作る合同組織だ。最近では、前科者と疑わしい者を登録していて、彼らの家を不意に家宅捜索したり、周辺の住民の情報を提供させるスパイとして活用して目を光らせている。

◆中国ドラマも地下で流通

韓国ドラマに対する取り締まりが厳しくなったこともあり、中国ドラマの地下流通が増えている。最近では、中国の作品も韓国モノに劣らず面白いと評判で、特に中国の暮しが豊かになった様子がわかるドラマやドキュメンタリーの人気が高いという。

「中国ドラマの場合は、取り締まりに遭っても中国語を学ぶ教材用だと言い訳して、賄賂を出せば見逃してもらえる。見ているのは、トンチュと呼ばれる富裕層や、幹部らが中心だ」
と前出の協力者は言う。

韓国のケーブルテレビに「中華チャンネル」という中国のテレビ番組や映画の専門チャンネルがある。韓国語の字幕をつけて放送しており、それが密かに北朝鮮持ち込まれているケースも多いとみられる。
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