軍部隊を視察する金正日総書記

◆制裁は事態の膠着招く可能性高い
拉致問題の根本解決は、北朝鮮の民主化と開放によって可能になるだろう。

それでも万が一、経済制裁を発動した場合、北朝鮮は制裁の解除を2国間協議開催の条件としてくることが予想される。日本が拳を振り上げている間は次の協議に応じないだろうし、日本は拳を引っ込めるための名分が必要になる。膠着状態が一層長引く可能性が高い。

結局、独裁政権下で半ば囚われの身にある北朝鮮に帰国した元在日朝鮮人と日本人配偶者、日本にいる家族が窮するだけで、拉致被害者の帰国も遅れる、という結末になりかねない。
被害者家族が「圧力をかけてでも解決を」と言う思いは十分理解できる。だが、その思いを引き取り、本当に解決に有効な外交政策を立案するのが政治家の役目だ。

国会開会中かつ6カ国協議を目前にした今は極めて重要な局面といえる。政治家やメディアは経済制裁の必要性を主張するのであれば、その有効性を論理的に説明すべきだ。翻って言えば、そうした主張をする人々は、制裁で事態がさらに膠着した場合、被害者や家族に対して負うべき責任があることを、自覚しなければならない。

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