次にフリーのジャーナリストについてです。戦場の現場で起きていること、戦場の周辺で起きていること、戦争に巻き込まれる一般の人達の現実を伝えるのがジャーナリストの責務です。戦争の現場に行くことはジャーナリストの本能です。どのような戦争であれ、記録されなければいけません。なぜなら非常にたくさんの命がそこで奪われるからです。

何故その命が奪われなければいけなかったのかを、敵味方、あるいは攻撃した側された側を問わずに検証していかなければいけない。それを問い返していかなければ、戦争で死んだ人の命が本当に無駄になってしまう。

今回のイラク攻撃でもたくさんの人の命が奪われ続けています。この命が何故奪われなければいけないのか、命を奪うことなく、平和的な社会を形成できないのか。その最も重い問いかけをしてくるのが戦争だと思います。奪われた命に対して誰に責任があるのか、そのことを考える材料を提供していくのがジャーナリストの役目です。

戦争が起きた時、戦争の現場に行くことは第一義的に重要なことです。戦争の記録はワシントンや霞ヶ関ではなく、まず戦場でなされなければいけません。
フリーランスは国益や国家と距離を置いて戦争を見ていくことが原則です。つまり自立していなければいけません。何故なら戦争は国家が起こすもので、国家は戦争を起こす時、常にマス・メディアを利用しようとします。今回のイラク戦争でも顕著に表れましたが、情報操作をやるのです。

それに対して抵抗する力をメディアは持たなければいけないし、ジャーナリストはそういう力をつけていかなければいけない。国家に寄り添った形で戦争報道を行う危険性を日本人は肌身に沁みて知っています。日中戦争、アジア太平洋戦争において日本のマスメディアはほぼ全面的に大政翼賛的な報道をしてしまったことで、日本人がどれほどの惨禍を被ったかは今さら触れるまでもないわけです。

その時にもしメディアが戦場の実相を伝えていれば、あの戦争についてもう少し違った形でものを考えることができたかもしれない。日本人もジャーナリストも過去に起きた戦争における過ちを真摯に反省していかなければならない。その反省の上に立って、今起きている戦争についても報道していかなければいけないと思っています。

外務省が退避勧告を出したり、いい加減に撤退してくれ、という言い方をしていますが、ジャーナリズムは国家とは全く別の価値観と行動基準を持っていなければいけないんですね。国とは違う方針であっても、ジャーナリストはジャーナリストの行動基準に従って行動することを確認しなければなりません。
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