国際貢献はすべきだとかね。私も20歳前後のある人たちと話たときに、「国際貢献はすべきでしょう」と言われたんです。ですが、私には何で今回のイラク派遣が「国際貢献」なのかが理解できなくて。だって、自分たちが壊したものをつくり直しているのを、それを国際貢献とは言わないのでは?と思うのです。きっと、自分たちが壊したつもりがないのかも知れませんね。殺したつもりもないという…。
野中
そうだよね、多分そうだよね。何でそういうことが、ふつうに考えれば自衛隊があそこにいるということも、それがもし国際貢献だとしたら、それはイラクの人々のためになってこそ国際貢献というものになるわけでしょう。本当にそれがイラクの人たちのためになる最善の方法なのかということを考えてみたときに、イラクに自衛隊がいるのは、アメリカに対して日本はこんなことをやりましたよ、というアメリカに対しての忠誠の証のためにいるようにしか見えない。基本的には、国際貢献とはほとんど関係のない理由で自衛隊は送られているのではないか?と疑問に思うんです。だけど、そういうことに対しても、一般的には物すごく小泉首相の言うことが説得力を持ってしまって、国際貢献のためには自衛隊をイラクへ送るのもやむを得ないと、それが日本の役割だというふうに思っている意識が浸透してしまう。そこで、さっき由貴さんが言ったように、やっぱり欠けているものというのは「人間の言葉」なんだよね。人間としての「言葉」なんだよね。だから国益とか政治とか組織とか、それから国家とか、そういうところに立った言葉ではなくて、人間としての「言葉」を聞きたいと僕は思うのだけれども、学生たちからもほとんどそういう言葉が出てこないのが現実です。

やっぱり感じていないからなんですよね。
野中
その辺については何でだろう?と僕も思うことがよくあるんです。何で伝わらないのかな?と。少なくとも昔よりは、イラクならイラクで起きていることというのは情報としてはたくさん入っているわけでしょう。テレビでもそうだし、新聞でもそうだし、インターネットでもそうだし。少なくても10年、20年前よりももっとたくさんの情報が入ってきているわけでしょう。だから人間は世界で起きていることを、昔よりもっとリアルに感じていいはずなんだよね。だけどそれがなぜか昔よりももっと非現実的というか、離れていってしまっているという現象がすごくありますよね…。
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