公表されないイラク派遣希望調査の結果
マスメディアでは、イラク派遣を自ら望む自衛官が多いと報じられてきた。たとえば『東京新聞』(2003年12月13日)の記事によると、第1次派遣部隊を出した北海道旭川市駐屯の陸上自衛隊第2師団では、03年8月に約6000人の隊員に派遣希望調査が記名式でおこなわれ、約半数が「熱望」、約3割が「希望」、約2割が「命令があれば行く」と答えたという。

「その他」を選び、「家族の事情で行けない」と派遣を断る回答も少数あったが、「行きたくない」との項目がないため、隊員からは「『行きたくない』とは言いづらい」との声も出ているという。
同様の調査は派遣予定の他師団や航空自衛隊などでもおこなわれている。だが、正式な調査結果は公表されない。防衛庁人事教育局は、「派遣隊員の選考は各部隊に任せているので、結果についてはこちらでも把握していない」と説明する。

イラク派遣を自衛官たちはどのように受けとめ、考えているのかを知るためには、各部隊の派遣希望調査において、いったい何人が「熱望・希望」し、また「命令があれば行く」と答え、あるいは「希望しない」と意思表明しているのか、というデータが必要である。

私は情報公開法に基づいて防衛庁に、イラク派遣希望調査の結果がわかる行政文書の情報公開請求をした。しかし、調査結果については、「氏名については、開示することにより、特定の個人を識別できる」「職務名、階級(内訳)、人数及び班等の名称については、開示することにより、自衛隊のイラクでの態勢及び能力が推察され、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などの理由で、不開示決定の通知があった。
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