軍事優先の社会にしないためにも
ともかく、各部隊の調査結果が公表されなければ、実際にどのような調査がおこなわれ、派遣希望者と希望しなかった者などの人数の割合がどうなのか、確かなことはわからない。
自衛隊のイラク派遣は、日本社会に賛否両論のある問題で大きな関心事だ。派遣隊員にとって生命の危険があり、隊員がイラク人を殺傷してしまうおそれもある。

イラク派遣を、当事者の自衛官たちがどのように考えて受けとめているのか。実情を知るためにも派遣希望調査の結果は、プライバシーにあたる部分などは伏せて、人数だけでも公表すべきだ。不開示の理由も、市民の知る権利と照らし合わせたときにどれほど妥当なのか、納得がいかない。

また、派遣希望調査の結果を人数さえも公表しないことは、軍事的な情報に過大な秘密のベールをかけ、自衛隊の活動に日本社会の目が届かなくなることにつながる。それは軍事優先の社会に通ずる危険な道である。
イラク派遣の希望調査に関して、自衛官の自由な意思・人権ははたして尊重されているのかどうか。この重大な経緯が今後も明らかにされぬままでいいのだろうか。

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