「裸の王子様」

4291.jpg「やめろ」「やめない」が喧しい相変わらずの台湾である。総統の娘婿は身柄の拘束は解かれたが、懲役八年の求刑が下った。インサイダー取引としては非常に罪が重い。弁護士出身でもある陳水扁総統は、「ちょっと重過ぎないか」と愚痴をこぼしたという。

総統夫人をめぐる商品券疑惑(かといって何が問題なのか、私もいまだによくわからないのだが...)、夫人の宝石の出所をめぐる疑惑(同)、そしてこの婿とその一族をめぐる疑惑のデパート...、これらをみていると、彼らに対する愛着がますます募ってくるのである。

ちょっと金目のある話についつい耳を傾けてしまう腰の軽さ、もらえるものはついもらってしまう正直さ、友人知人との、ちょっと貸して、ちょっと買ってといった友情の篤さ。その無防備ともいえる庶民性は、かれらの人のよさを表して余りある。中国からのスパイも含めて、台湾総統府はしたたかな敵に囲まれていることをご存じなかったのであろうか。

ごたごたの最中に日本行きの切符を予約していたという娘。もともと長栄航空(エバエアー)のフライトを予約していたのだが、母親(すなわち総統夫人)は、長栄をやめて中華航空にしなさいと言ったという。長栄のオーナーが最近、中国派に寝返ったことが理由らしい。

真偽のほどはわからないが、そんな会話が家庭で交わされているのが目に見えるほど、彼らは庶民感覚を維持したまま、六年も官邸生活を続けてきたわけである。
これが台湾派の王様とすれば、さいきん日本を訪問した馬英九中国国党主席・台北市長が中国派のプリンスである。こっちの王子様はけちな金などに目もくれない。血筋も血統も申し分のない大陸出身のサラブレッドで、庶民の暮らし振りなどにはおよそ無縁の人生を歩んできた。

しかし、屋台の前で財布を開いてみたり、ジョギングに興じてみたり、原住民の服を着てみたり、庶民をひきつけるパフォーマンスは十二分に心得ている。言葉も行動もスマートだ。
次のページへ ...