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米国に続く外遊、今回の訪日の目的は総統の椅子への地ならしの一環なのだが、わけても「反日」イメージの払拭が重要な使命だったらしい。

「親日」「反日」といった区分は好きではないが、少なくとも馬英九とその周辺が日本に関心も好意ももっていないことは誰が見ても感じ取れる。反日は台湾国民をひきつけるひとつのポーズでもあるし、ことさらそれを強調するのは、彼のかつての「上司」であり、「先輩」でもある「裏切者」の李登輝元主席と強く一線を画する必要があるからである。

馬英九はいったいどういう人物なのか...昨年暮れのクリスマスに台北市が、高砂義勇隊の慰霊云々というイベントを催したことがある。アリバイ的な唐突な催しだが、趣旨は理解できるし、準備したひとたちもそれなりに真面目だったのだろう。が、彼の挨拶は異様なものだった。

「日本人は原住民の人肉を食っていた」というのである。原住民が大多数の観衆は一瞬「ポカン」となった。いったい何の話なのか。なかには演台に抗議に行く人もいたが、馬市長は、顔色ひとつ変えない。
彼は日本に興味がないというより、そもそも台湾に関心がないのではないか。王子様の頭には聞きかじりの台湾史しかないようにみえる。

しかし彼はいま、中国との関係改善・関係強化を使命に六人目の台湾=中華民国総統への道を着実に歩んでいる。そういう意味では、現状に大きな変化がないほうがいい。むしろ、陳総統が疑惑をひきずったまま任期を全うしたほうが好ましいという計算も彼には働いていよう。
*写真 上 陳水扁の辞任を求めて走る宣伝カー
下 馬英九中国国民党主席・台北市長

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