【ロシア沿海州・ウスリスク市で同胞の高麗人に宣教活動する韓国のキリスト教会】

海外”進出”する韓国の教会 (その1) 
韓国世界宣教協議会によれば、韓国の教会が海外に送っている宣教師の数は173カ国に1万6千人になるという(06年末)。この数字は英国の2倍におよび、米国に続いて世界2位だ。
韓国社会が豊かになるとともに、多くの宗教、NGOなどの団体が海外への進出し、建設、医療、教育などの分野で奉仕活動を行うようになった。その中心のひとつがキリスト教会をはじめとする宗教団体であった。
ソウル市内を歩くと、あらゆる公共の場所で「イエス=天国・不信=地獄」というスローガンを掲げながら、熱狂的ともいえる布教活動をしている光景がたびたび見られる。その「激しさ」は海外宣教でも同様だ。

私は昨年、ロシア沿海州・ウスリスク市に数ヶ月、滞在した。90年代後半以降に中央アジアから移住してきた「高麗人」(朝鮮系ロシア人)の取材のためだ。驚いたのは、わずか2万人ほどの高麗人に宣教するため、韓国人が作った教会が10ヶ所以上あったことだ。教会間の信者獲得競争は激しく、高麗人からは「ありがた迷惑」という声もあった。

90年代半ばには、まず同胞の暮らす国外の地域への進出が始まった。とくに中国へは、国交樹立のタイミングとも重なり、東北部の朝鮮族への宣教活動が活発化した。さらに北朝鮮から中国に脱北してきた人びとへの支援と宣教活動も開始された。
同胞のいる地域に進出した教会と牧師が飽和状態を迎えると、こんどは第3世界諸国に向かい始める。たとえばアフリカのなかでも貧しい国々や紛争地域にまで宣教師、信徒が派遣された。熾烈な過当競争の結果、「教会設立数、信者獲得数こそが宣教成果の指標」といった認識を、教会や牧師達が抱くようになってしまったといえる。
(続く)
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