チュ:そうだよ。早く改革開放するか、統一するか、どちらか一つの方に向かわないと。生活が苦しくてたまったもんじゃない。
それでも、まあ、以前はこんな不満さえ言えなかったもんな。今は、大っぴらには言えなくても、隠れてなら言うようになったもんな。

シム:夫婦だったら布団の中で話すんでしょ?
ウォン:金正日と金日成の肖像画を見ながら、指さしてはさすがにできないけど、眺めながら、「あんたが辞めて、他のやつがなってくれたら、改革開放できるのにねえ」ってな。

シム:おお、そりゃ、お祈りだな!
チュ:外国に行ったことのない一般国民は世界の実情を知らないけど、外を見てきた幹部たちはよく知ってるから、「改革開放すれば、中国みたいに豊かに暮らせるのに、統制ばかり続けやがって……」って、不満たらたらだよ。「いい加減に辞めてくれよ、これだけ長いことやったんだから……」って言うこともある。

シム:それじゃあ、幹部たち、外国に出入りできる人たちは、不満が鬱積してるんじゃないですか? 彼らには、教育とか病院なんかを改革開放しようという意見はないのかな?
ドン:そりゃあるさ! いくらでもあるけど、改革開放しようなんて言おうもんなら、もう、いくら偉い人でも保衛部(情報機関)のやつらの監視下にあるんだから、下手なことを言えばいつ首が飛ぶかわからないじゃないか。
だから、今は何も言えずにじっとしてるんだよ。言いたくても表現できないんだから。でも、皆、腹の中では、「ああ、改革開放してくれればいいのに……」って思ってるよ。
(つづく)

注1 二〇〇七年末現在、日本円一〇〇円は約二七〇〇ウォン。北朝鮮労働者の名目上の平均月給は、一二〇〇―二五〇〇ウォンだ。住民の教育や医療にかかる実質費用負担は、非常に大きい。次の2回へ

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