しかし、石炭拾いができないと総和に行かせてくれない。
「管理所」に入れられている人たちには、くそまじめな人が多いので、朝食も食べられず腹を空かせているのに、皆じっと我慢している。
前の夜の午前零時に出てきた人々を翌日の昼になっても帰してくれず、落ちてもいない石炭を拾い集めろと言っては殴る。
午後四時になってようやく「帰れ」である。家に帰れば夕方六時。飯を食べて少し経てば、もう出勤時間だ。また文句を言わずに出勤しなければならない。
まともに寝たためしがない。

半分は意地で生きていたようなものだ。
坑道に入れば採炭、出れば石炭拾い……。こんな生活には、鋼のように丈夫な肉体を持つ人でも耐え切れまい。
しかし人々は、歯向わない。歯向かえば殴られ、下手をすれば「無報酬(後述)」に放り込まれるからだ。
坑道で働く人々の顔は真っ黒で、両方の白目と歯だけが白く浮き上がっている。あまりに真っ黒で汚いので、殴る連中が、自分の手を使わないほどだ。
(つづく)

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