荷物を抱え、背負い、頭に載せて市場に向かう。03年4月に商行為が合法化されて後、一気に市場経済の拡大が進んだ。今や商行為抜きに北朝鮮の人々の生活は語れない。(2000年咸鏡北道茂山郡 チョン・チョルミン撮影)

荷物を抱え、背負い、頭に載せて市場に向かう。03年4月に商行為が合法化されて後、一気に市場経済の拡大が進んだ。今や商行為抜きに北朝鮮の人々の生活は語れない。(2000年咸鏡北道茂山郡 チョン・チョルミン撮影)

 

我が国の経済動向 10
新しい国民合意の仕組みが必要
リュウ・ギョンウォン:どうすれば朝鮮の経済が回復するだろうか?
ケ・ミョンビン:党大会が開かれなくなって久しく(注1)、また、経済問題について党員たちが正式に、自由に、あるいは公開の場で討論・協議することが不可能な現状で、「幹部の考え」を私が代表することはできない。

しかし、経済幹部たちが日頃から憂慮して議論してきたことから、少なくとも問題はどこにあるか、共通の認識の見当ぐらいはつけることができるだろう。
「ニワトリが先か、卵が先か」という難解な謎のように、朝鮮の経済分野はあまりにも深い傷を負っていて、一言でどうこう説明することは難しい。さらに、経済自体の問題に加えて政治的、文化的な様々な問題も複雑に絡んでいるため、経済回復についての方法は単純ではない。

現状をおおまかに言うと、「一時的な困難である。これまでどおりにやればよい」と言って変化を許さない国家指導部の保守的主張があり、それに応じたくても応じることができない広範な中下層が背を向けている状況だ。
朝鮮の経済が回復するためにすべきことはあまりにも多いが、最優先なのは、何が本当に正しくて、何が間違っているのか、政策を評価する基準をどこに置くべきか、それを判断する国民合意のしくみをきちんと作ることだろう。

朝鮮戦争後の復興期のように大衆が動いてくれるならば、それはそれで、(社会が合意する仕組みがあっての)正しい選択だと見ることができるだろう。
だが、経済の行為主体である民衆が、同意もしない、動こうともしないような、でたらめばかり言っていてはだめなのだ。党員と勤労者が望む合意の仕組みを作ることから始めなければならない。

石丸次郎:経済部門の幹部として、あなた自身のその「合意」の考えを聞きたい。
ケ:私個人としては、健全な生産労働を通じて、人々がちゃんと稼いで生きていけるような経済環境が、まず形成されなければならないと考えている。
そのためには、消滅した社会主義市場に代わる対外経済関係がなんとしても必要だ。

とすると、国際社会から求められる最低限の経済ルールを国内にうち立てられるよう、経済改革をしなければならない。そうしてこそ、怪我人が輸血をしてもらっているような現在の国際支援が、ようやく有効になるのだ。
働いて稼ぐための経済環境で効果のあるものを考えてみよう。

生産力がない、つまり労働に対して代価支払い能力のない朝鮮は、過剰労働力の利用を国内に限定しようとする古い考え方と方法から脱して、その労働力をもっと海外に派遣することを考えるべきだ。
ところが、外国で朝鮮の労働力が雇用された最近の事例について問題が持ち上がっている。
(労働力輸出に対し)国内で「植民地主義による略奪だ」とか「植民地の奴隷の暮らしだ」などという辛らつな発言をして政治的障害を作り出そうとする動きがある。
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