キルス一家が北京のUNHCR事務所に侵入・籠城した事件は、韓国をはじめ世界中で大きく報道された。

キルス一家が北京のUNHCR事務所に侵入・籠城した事件は、韓国をはじめ世界中で大きく報道された。

 

「やっかい払い」した中国政府
さて、この時から事態は急展開を見せる。まずメディアであるが、26日-27日にかけて主だった外信はほとんどトップ記事扱いでこの事件を報じた。

『ワシントンポスト』は社説でもこの事件を扱った。UNHCRジュネーブ本部は記者会見の中で、一家を国際法上の難民と認定する発言を行った。また、韓国政府はキルス家族全員の受け入れを表明する。

翌27日からUNHCR北京事務所と中国当局との協議が始まる。中国政府は「中国と朝鮮の間に難民問題は存在しない」という従来の立場を繰り返したが、キルス一家については人道的見地から対処するとコメントを出す。

29日、中国政府はキルス一家の第三国への出国を容認。午前中に一家は中国を出国してシンガポール経由でフィリピンへ向かう。そして30日午後6時過ぎ、キルス一家は韓国仁川空港に到着した。
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