「銃の不法所持やゲリラとの繋がり」を理由に警察が働いたあまりの横暴さに、住民たちは警察を取り囲み、抗議する。(2009年10月カルダス県カーニャモモ 撮影 柴田大輔)

 

◆ 第5回 弾圧

抑えることのできぬ怒りに、一人の女性が震え、涙を流している。
山村を包む、早朝の冷たい空気が、前日の興奮を冷やそうとしていた。しかし、再び現れた暴力が、静まろうとする心を掻き乱した。

2009年10月26日、コロンビア中西部カルダス県のカーニャモモに着くと、山間の小さな村は騒然としていた。
カーニャモモはアンデス山中に位置する、エンベラ・チャミ民族のコミュニティーだ。私は27日に予定された先住民族の活動の取材するため、カウカの先住民族グループとそこに向かっていた。

私たちが到着したとき、すでに日が暮れていた。村の入り口で車を降り、足元を確かめながら細い山道を歩いて行くと、やがて一つの集落に到着する。そこには大勢の人たちが集まっていた。
傍らを、銃を担いだ数人の警察が横切る。カーキ色の服を身にまとう彼らは、対ゲリラの警察部隊だ。村の住民が「大変なことが起きた」と話す。

この日の午後2時過ぎ、村の広場でサッカーする住民のもとへ突如、警察部隊が押し寄せた。警察は、手にした拳銃をその場にいた26歳の男性に突き出し、拳銃の不法所持、ゲリラとの繋がりを指摘し、彼を連れ去ろうとした。しかし、その拳銃に覚えがないと男性が抵抗すると、警察は彼に向け発砲する。男性は、胸と右腕に被弾しその場に倒れた。
また、彼を庇おうとした84歳の男性に対しても警察は発砲し、左腿を撃ち抜く。その場に居合わせた若者たちも暴行を受け、4人が逮捕された。